私たちは、自然からいただいたものを「うつわ」に盛っていただきます。
「うつわ」に注がれた水で体と心をうるおします。
家という「うつわ」のなかで日々を過ごし、この世に別れを告げたのち私たちの体は焼かれて「うつわ」におさめられます。

小説家いしいしんじさんが「うつわ」をテーマに書く「うつわ小説」。
このシリーズは、鎌倉のうつわギャラリー「うつわ祥見KAMAKURA」のプロデュースにより誕生しました。
約1年をかけて、4篇の小説を順次刊行していきます。

器はみな土でできています。きのうふと開いたものすごく古い聖書のページに、お前たちは塵として生まれ塵にかえるのだという有名な文言があり、あ、人間も器だな、と思いを改めた次第でした。うつわを書くのは小説の基本なのかもしれません。──いしいしんじ

ブックデザイン 吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)

 


 

うつわ小説その1
からっぽの光

アンデス高原に行く1年間マンションの留守番をしてほしいという、牧野マキ先輩からアユコへの電話で始まる物語。それぞれにそれぞれを生きながらも心を寄せ合う人々と、暮らしの随所に息づくさまざまなうつわたちが、おだやかに存在を照らしあう……。

2024年7月7日刊
A5サイズ変型/本文32頁
定価1500円(本体価格・税別)
包み紙のなかに本が入っています。包み紙はブルーとベージュの2種類があります。

 


 

うつわ小説その2
皿をまわす

「一度生まれたろ、それが大事なんだよ。うつわってものは、いつか、必ずこわれる。けど、まずうまれなきゃ、なんにもはじまらない」。DJと陶芸家の不思議な出会い。ほんとうに大切なことから目をそらさず生きてきたふたりの人生が「皿」を通して交錯する奇跡を描く。

2024年11月3日刊
A5サイズ変型
定価1500円(本体価格・税別)
レコードケースのなかに本が入っています。

 


 

うつわ小説その3
先生の庭

ふとしたきっかけから茶道のお稽古に通うことになった主人公、亜美。鈴の鳴るような声で笑うチャーミングな先生に惹かれ、亜美はお茶の深い世界へと導かれていく。思いがけないできごと、思いがけない出会いをきっかけに、時を超えた人生の不思議に出会っていく姿が描かれる、力強いストーリー。

2025年5月13日刊
A5サイズ変型/本文40頁
定価1500円(本体価格・税別)
本が帯で巻かれて封がしてあります。

 


 

『からっぽの光』刊行記念トークイベント

日時:2024年7月7日(日)15時
場所:うつわ祥見KAMAKURAギャラリー
 
『からっぽの光』冒頭部を朗読するいしいしんじさん
 
 
 

『皿をまわす』刊行記念トークイベント

日時:2024年11月3日(日祝)15時
場所:うつわ祥見KAMAKURAギャラリー
 
『皿をまわす』に登場する曲のレコードを京都のご自宅から持参くださり聴かせてくださいました
 
 
 

『先生の庭』刊行記念 展示&トークイベント

うつわ祥見KAMAKURA特別展「ちゃわん展」
参加作家:荒川真吾 矢尾板克則 横山拓也 吉田直嗣 境道一
会期:2025年5月13日(火)から5月18日(日) 13時から19時
会場:森岡書店銀座店

いしいしんじ刊行記念トーク「塵から塵へ」
日時:5月16日(金)19時
会場:中小企業会館 9階講堂

5人のうつわ作家による自由でのびやかな茶碗が集まった特別展
 
ご自身の蓄音器「HMV114 COLONIA」を運んできてくださったいしいしんじさん。トークに参加くださった皆さんと一緒にそのあたたかな音色に耳を傾け、素敵な一夜になりました。左は森岡書店の森岡督行さん