愛について On Love

谷川俊太郎 著 ウイリアム I. エリオット 訳 川村和夫 訳

 

谷川俊太郎が1955年、24歳の時に刊行した、初期詩集『愛について』に新たに英訳をつけて復刊。『愛について』単独の復刊はじつに50年ぶり。詩篇はいずれもみずみずしく、詩のことばが輝いている。

台所の棚の上にあつた小さなざるの中に 私は星を摘もうとしたが/少女は収穫なんかどうでもいいと云い張るのだ(「少女について」)

ひとの中で誰かが祭のための料理をする(「月のめぐり」)

夕陽は捨てられたような高さから/もう消毒の力も失つて/秋色の街燈を羨望し始める(「夕暮」)

時代を経ても、詩のことばの不思議さが新鮮に響き合っている。本詩集のタイトルのように「愛について」語るために、詩がある。詩こそが、「愛について」語るにふさわしいことばである。

 

 

  • A4判/ソフトカバー/カバー装/糸かがり/本文115頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2003年5月刊
  • ISBN4-88008-286-4 C0092
  • ※品切れ