谷川俊太郎が1955年、24歳の時に刊行した、初期詩集『愛について』に新たに英訳をつけて復刊。『愛について』単独の復刊はじつに50年ぶり。詩篇はいずれもみずみずしく、詩のことばが輝いている。
台所の棚の上にあつた小さなざるの中に 私は星を摘もうとしたが/少女は収穫なんかどうでもいいと云い張るのだ(「少女について」)
ひとの中で誰かが祭のための料理をする(「月のめぐり」)
夕陽は捨てられたような高さから/もう消毒の力も失つて/秋色の街燈を羨望し始める(「夕暮」)
時代を経ても、詩のことばの不思議さが新鮮に響き合っている。本詩集のタイトルのように「愛について」語るために、詩がある。詩こそが、「愛について」語るにふさわしいことばである。
- A4判/ソフトカバー/カバー装/糸かがり/本文115頁
- 1,800円(本体価格・税別)
- 2003年5月刊
- ISBN4-88008-286-4 C0092
- ※品切れ