金雀枝のヨハネ

四方田犬彦 著

金枝とは生者があの世へ降下する際に必要なお護り。この詩集には「金枝」「この世の栄光の終わり」「金雀枝のヨハネ」、計9篇を収めた。
岩成達也、ジャン・ジュネなど死者への眼差しは深く透徹し、果敢に死者の魂にわたり行くために書かれた本詩集は壮大な叙事詩であり、世界の果てをのぞむのか。

 

もしも苦痛が他の苦痛でしか表彰しえないとしたら
詩を書くことに何の意味があるのか。

 

詩が中断されるのではない。
わたしが中断された詩なのだ。
──「ガザに目なし」より

 

著者自装

 

■著者

四方田犬彦(よもた・いぬひこ)
1953年、大阪箕面生。詩集に『眼の破裂』(百頭社、1993)、『人生の乞食』(書肆山田、2007)、『100 POSTCADS 』(大和プレス、2009)、『わが煉獄』(港の人、2014)、『離火』(港の人、2021)がある。翻訳詩集にピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ詩集 増補新版』(みすず書房、2024)、マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫、2024)、チラナン・ピットプリーチャ『消えてしまった葉』(共訳、港の人、2018)がある。詩論集『詩の約束』(作品社、2018)で鮎川信夫賞を受けた。

 

■目次

金枝/この世の栄光の終わり
ゴンギュラ/宝誌和尚/痕跡/岩成達也の家
ガザに目なし/塩湖/金雀枝のヨハネ
あとがき

 

 

  • 四六判変型/並製本/本文152頁
  • 2400円(本体価格・税別)
  • 2025年10月刊
  • ISBN978-4-89629-466-8