ふらんすの椅子 四月と十月文庫9

鈴木るみこ 著

雑誌『クウネル』の“心臓”であったライター・編集者鈴木るみこの遺稿集。『暮しの手帖』『フィガロ ジャポン』『すばる』などに掲載のエッセイのほか、未発表原稿5篇収録。
夢見る少女は、憧れのフランスに暮らす。いのちを愛おしむ眼差しからせっせと文章を書き、若い読者の夢を応援した。鈴木るみこは、大人になって最後まで夢見る少女のままだった。その切ない証しがポロポロ涙の結晶のようにこの本に詰まっている。

 

解説「るみちゃんへ」牧野伊三夫
装画 牧野伊三夫
装丁 青木隼人+牧野伊三夫

 

■著者

鈴木るみこ(すずき・るみこ)
1963年静岡県富士宮市生まれ。ライター、編集者。1986年上智大学文学部フランス文学科卒業後、マガジンハウスに入社。1992年退社後、約2年間をフランスで過ごし、帰国後、執筆、編集、翻訳を手がける。雑誌『クウネル』に2001年創刊より携わり、生活雑誌の新局面を創出する斬新な編集と同誌に掲載された署名原稿により高い評価と人気を得る。2014年雑誌『つるとはな』ほかの雑誌や書籍の編集および執筆で活躍する。編著に『スマイルフード』(マガジンハウス、2000年)、『糸の宝石』(吉田昌太郎編、島隆志写真、ラトルズ、2009年)、『クウネルの旅 パリのすみっこ』(マガジンハウス、2010年)、『山口さんの椅子/記憶』(オオヤコーヒ焙煎所出版局、2012年)、『O KU 内藤礼 池上はどんなところだったか』(長野陽一写真、hehe、2014年)、『みどりの王国』(戎康友写真、青幻舎、2023年)ほか。2018年5月16日死去。

 

■本書より

自分の幼い頃から大事にしてきた夢や幻想が、いつしか昔を忘れてしまった大人たちにどれほど生きる希望をもたらすか、彼女は知っていたと思う。『クウネル』は、それを語るために、彼女がようやく見つけた奇跡の場所だったのではないだろうか。おそらく持てる力のすべてをつぎ込んで書いていたと思う。──牧野伊三夫「るみちゃんへ」より

 

■目次

ふらんすの椅子
記憶/はじまりは一本のつるバラ。日々是、庭づくり。/フランスとレースと私
雨戸・そのほか
雨戸/花を飾る人/プレゼント/おあげさん/まなづる/白をおく/給食袋/ブールデルのアトリエ/ゴキゲン、いかが?/顔/馴れるものか/夢のはなし/メジロ小劇場/本棚を作る/映画とナイフ/空と、地べたと。/Yさんの言葉/熱の日
眺めのいい食卓
本のこと
第1回/第2回/第3回
未発表原稿
メロディ・フェア/和子さんの塩むすび/ミモザ/神さま/金の輪

るみちゃんへ  牧野伊三夫

 

 

  • 四六判変型/並製本/写真1頁+本文176頁
  • 1600円(本体価格・税別)
  • 2025年8月刊
  • ISBN978-4-89629-461-3