何事もなく平穏に過ごしている日常生活、家族の団欒。しかしその暮らしを、詩人・北村太郎のいう「〈詩の目〉で測り、調べ、〈詩の口〉で噛み、味わって」みると、どこかにズレや綻びがひそんでいることに気がつき、時に苦い思いをしたり、泣いたり、つまずいたりする。それが〈あいまいな場所〉であるが、ズレや綻びから詩が生まれてくるのだ。「詩が人生を推敲する」とは詩人・氏家篤子の言葉。詩に向き合い、詩を考えながら、人生を経ていく。詩人の姿は謙虚で清々しい。
装丁 長田年伸
■著者
氏家篤子(うじいえ・あつこ)
1950年愛知県生まれ。詩誌「るなりあ」同人。
■目次
Ⅰ くぐりぬける日
くぐりぬける日/雨/目路/橋の上/白いシャツの日/現れたもの/切り通しの通学路/笹の芽を抜いている
Ⅱ 炎天
まひるま/夏の夜道/夜のナス/タケニグサ/炎天/美しい庭/八月の広場
Ⅲ 海への扉
海への扉/ゆれる穴 1/ゆれる穴 2/後始末/亜熱帯植物園/囀りの木/赤い巣箱
Ⅳ あいまいな場所
根が触る/月夜/道すがら/手元に残った朝/春の時間/北の町の空/ゆれている
あとがき
- A5判/上製本/80頁
- 2200円(本体価格・税別)
- 2025年4月刊
- ISBN978-4-89629-455-2 C0092