源氏初山踏

大石嘉美 著

「初山踏(ういやまぶみ)」とは入門書という意味。初めての人でも道に迷わず、楽しく『源氏物語』の世界を歩くことのできる親切なガイドブック。
著者は長く市民講座で市民とともに『源氏物語』を読み語り、本書はそのテキストをもとに書き下ろした。
『源氏物語』の登場人物像や、背景となる貴族社会の様子を平易なことばで解説。『源氏物語』の魅力を、一帖「桐壺」から五十四帖「夢浮橋」までていねいに解き明かす。

 

装丁 長田年伸

 

■本書より

私は、『源氏物語』に限らず、古典は必ずしも全編を通読する必要がないと考えています。現代語訳で通読して読んだことにするよりも、原文でどれか一帖を時間をかけて読む方が、『源氏物語』を本当に読んだことになるのだと思います。また、一帖を読み通すことができなくとも、たとえある一節、ある一文でも、その人にとって忘れられない言葉となるなら、『源氏物語』を読んだことになるのだと思います。要約や、前後を見渡すための知識や、読みどころを説いた解説書の存在意義は、読者を原文に導いて、そのような体験をもたらすところにあります。本書を手に取る方々が、たとえ一帖でも一節でも、原文に触れたいと思って下されば幸いです。──「はじめに」より

 

■著者

大石嘉美(おおいし・よしみ)
静岡県藤枝市生まれ。浜松文芸館・笠井文学セミナー講師。
著書『文学の言葉 解釈の諸相』『四季の読書』『書物の宴』

 

■目次

はじめに
1 桐壺/2 帚木/3 空蟬/4 夕顔/5 若紫/6 末摘花/7 紅葉賀/8 花宴/9 葵/10 賢木/11 花散里/12 須磨/13 明石/14 澪標/15 蓬生/16 関屋/17 絵合/18 松風/19 薄雲/20 朝顔/21 少女/22 玉蔓/23 初音/24 胡蝶/25 蛍/26 常夏/27 篝火/28 野分/29 行幸/30 藤袴/31 真木柱/32 梅枝/33 藤裏葉/34 若菜上/35 若菜下/36 柏木/37 横笛/38 鈴虫/39 夕霧/40 御法/41 幻/42 匂兵部卿/43 紅梅/44 竹河/45 橋姫/46 椎本/47 総角/48 早蕨/49 宿木/50 東屋/51 浮舟/52 蜻蛉/53 手習/54 夢浮橋
主な参考文献
あとがき

 

 

  • 四六判/並製本/カバー装/本文536頁
  • 3500円(本体価格・税別)
  • 2025年3月刊
  • ISBN978-4-89629-453-8 C0095