書店・私鉄・住宅から読み解く 近代日本のピアノの普及

齊藤紀子 著

今日、ピアノは音楽ホールや学校に限らず、ホテルのロビーやカフェなどにも置かれ、最もポピュラーな楽器として親しまれている。明治以降、どのようにしてピアノは広まり、西洋文化のステータスとして人気を得ていったのか。本書では、書店・私鉄・住宅という3つの視点からダイナミックに解き明かしていく。大阪で明治後半からピアノ販売を始めた1825年創業の楽器販売の老舗、三木楽器の貴重な資料「ピアノ納入簿」を初めて公開する。

 

装丁 長田年伸

 

■著者

齊藤紀子(さいとう・のりこ)
お茶の水女子大学文教育学部芸術・表現行動学科音楽表現コース卒業。お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻表象芸術論領域修了。人文科学博士(Ph. D. in Musicology)。お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所みがかずば研究員を経て、放送大学教養学部人間と文化コース専門科目面接授業担当講師。首都圏の大学で実技を含む音楽の授業を担当し、お茶の水女子大学の卒業生や附属生にもピアノを指導している。

 

■目次

はしがき
序章
これまでのピアノ文化史研究/調査の概要/既往研究にみる三木楽器/三木楽器の沿革/『ピアノ納入簿』の概要/ピアノの納入地域と納入施設
第1章 書店を介したピアノの納入
書籍商の楽器販売/三木楽器の取次商/教則本と音楽書籍/1910年代の家庭音楽論/『婦人画報』の懸賞和歌「ピアノ」
第2章 私鉄沿線のピアノの普及
納入されたピアノの種別と支払い方法/私鉄の敷設とピアノ/旧住吉村のピアノ/大阪倶楽部会員のピアノ購入
第3章 洋風住宅の居間とピアノ
洋風住宅手引書とピアノ/住宅改良会機関誌『住宅』にみるピアノ/ピアノのメンテナンス
終章
参考文献
資料編 『ピアノ納入簿』データ(抜粋)
あとがき
関連論文一覧

 

 

  • A5判/上製本/カバー装/本文472頁
  • 3600円(本体価格・税別)
  • 2025年1月刊
  • ISBN978-4-89629-452-1 C3073