第56回角川短歌賞次席に輝いた新鋭歌人の待望の第一歌集。
2008年の十代、二十代、2021年までの304首を収録。
天空の光といのちの声が交差する情景、声を彫り、言葉の影から静謐な美を映し出す。
仰向けに蟬さらされて六本の鉤爪ふかし天の心窩へ
魚の聴く水面の雨よしづけさへ逃げかへりゆくその背鰭みゆ
波のごとく伽藍のごとく崩えゆかむ世は木犀の香の盛りなり
装画 ナカノヨーコ
装丁 港の人装本室
■著者
小原奈実(おばら・なみ)
1991年東京生まれ。第56回角川短歌賞次席。
東京大学本郷短歌会(現在は解散)、同人誌「穀物」などに参加。
■目次
Ⅰ
鳥の影/天空/刃と葉脈/重量/蘂と顔/贄/鳥を待つ椅子/脳の夕/鈴/声と氷/虚花集/時を汲む
Ⅱ
鳥の宴/鉄扉/問ひ/碇/したたる/光の人/息を聴く/野の鳥
Ⅲ
みぞれ/小窓/藤と眠り/衣と骨/錫の光/静水/月光/星ふるふ/有つ/往路/蛹/短髪/篩
あとがき
- 四六判変型/上製本/本文196頁
- 2200円(本体価格・税別)
- 2025年2月刊
- ISBN978-4-89629-451-4 C0092