ワタクシトイウ存在ノ鳥

高波忠斗 著

現在のこの世界の状況にいかに刺さっていくのか、「詩人とは」「詩人の自由とは」の問いをとことん追究した傑作詩集!

本詩集は「鳥たちのためのバラード」「戦場のパルティータ−詩人M、『野火』を行く」「闇夜のラブソディー」の3部で成り立っているが、「戦場のパルティータ」は大岡昇平の傑作『野火』の世界に入り込み肉迫した問題作。世界は戦場である。ヒリヒリする現実の中で、抒情詩の可能性はあるのか。言葉は希望か、天空に放たれる言葉が美しい!

 

装丁 間奈美子

 

■著者

高波忠斗(たかなみ・ただと)

1969年、千葉県生まれ。早稲田大学法学部卒業。大岡信フォーラム(2002年〜2009年)で広く詩について学ぶ。2016年より詩誌「歴程」に参加。詩集に『たまごのゆめ』(2006年・新風舎)。

 

■目次

鳥たちのためのバラード

詩人の朝/春風のたわむれのように/契り/夏の終りに/ハリケーンのような恍惚が/昨日/跳べ/聖なる夜に/ワタクシトイウ存在ノ鳥/夜だけがこの世に満ちていて/ハイビスカスのしわぶきのように/復讐

戦場のパルティータ――詩人M、『野火』を行く

第一番 歩く眼

ⅰ(無言を抱きしめて…)/ⅱ(真っ暗なランプをともして…)/ⅲ(空のかたちは蛇だ…)/ⅳ(花のほうへ…)/ⅴ(敵なのに…)/ⅵ(ぼくは生きたいと思っている…)/ⅶ(ここにあるのは血と屍だけ…)/ⅷ(ぼくの右手が動く…)/ⅸ(丘に向かって…)/ⅹ(そこ、食べてもいいよ…)/ⅺ(それがぼくの名を呼ぶ…)/ⅻ(おまえも食ったんだぞ…)

第二番 蛆の楽園

ⅰ(これはぼくなのだろうか)/ⅱ(無言が走り出している)/ⅲ(いのちのはじまりのように)/ⅳ(ミクロコスモスの影)/ⅴ(マラリアかマリアか)/ⅵ(ボクハボクノボクニナリタイ)

第三番 夢魔の嵐

ⅰ(ぼくは世界のどこにいるのか)/ⅱ(無音のように落ちつづけて)/ⅲ(死と太陽のはざまで)/ⅳ(あふれる自我)/ⅴ(夢魔は死んだ)ⅵ(曙)

闇夜のラプソディー

蛇/きみといっしょに/沙羅の風/神様のデート/一枚の若葉/妄想するマネキン/告白/カノン/敗残の犬/ほんとうのことば/リカ。――あるいは詩/かたちのないもの

「戦場のパルティータ」について

 

 

  • A5判変型/並製本/本文152頁
  • 2200円(本体価格・税別)
  • 2024年10月刊
  • ISBN978-4-89629-446-0 C0092