ハワイと日本の架け橋となった日本人教授

西山和夫 著

茨城から東京へ、東京からハワイへ、ハワイからアメリカへ、そしてふたたび日本へ、アジアへ。──挑戦と苦難と波乱の人生を振り返り、次世代の若者へエールを送る、ハワイの光あふるる回顧録。

 

「カズちゃんはアメリカさ行って大学の先生になっちまったってよ。そんなウソだんべな……」と郷里の結城で噂されたようだが、これは本当のお話。
カズちゃんこと著者の西山和夫が最初に英語に出会ったのは高校1年の時、NHKラジオの「カムカム英語」で親しまれた『英語会話』。以来、父親の反対を押し切り、英語の勉強をつづけて難関のパンアメリカン航空に就職した。そして27歳のときハワイ大学に留学するチャンスを掴み、10年後の1970年にはミネソタ大学で博士号を取得。数えきれない試練と困難を克服して、ハワイ大学教授となり、アメリカ、ハワイと日本やアジアとの文化交流につとめる。若者たちの夢の架け橋になるようにこの小さな本をつくった。

 

装丁 西田優子

 

■著者

西山和夫(にしやま・かずお)
1933年茨城県結城市生まれ。パンアメリカン航空を経て、1960年ハワイ大学マノア校に留学、スピーチ・コミュニケーション学士号・修士号を取得。1970年ミネソタ大学でスピーチ・コミュニケーション博士号を取得。ハワイ大学マノア校コミュニケーション学部で教授として30年間教鞭をとる。現在、同大学名誉教授。日本、香港、シンガポールで客員教授も務める。

 

■目次

はじめに
第一章 英語との出会い
NHKラジオの「カムカム英語」/大塚英語塾の大塚先生/津田英語会での英語学習
第二章 クリスチャンとしての新たな人生
イングリッシュ・クリスチャン/日本クリスチャン・カレッジ/神学校生活
第三章 神学校への失望と聖職者の道の断念
神学校への違和感/柳生直行先生との出会い/軽井沢でのバイブル・キャンプ/クインビー牧師との衝突/転校の決意/津田スクール・オブ・ビジネスへの転校
第四章 パンアメリカン航空会社勤務とアメリカ留学の夢
パンアメリカン航空会社の入社試験と面接/新入社員教育と旅客課業務/アメリカ留学のきっかけとなったファミリアライゼイション・トリップ
第五章 ハワイ大学留学と予期せぬ苦難
帰国後すぐに留学準備を開始/予期せぬ苦難/ローチさん夫妻の救いの手
第六章 ハワイ大学での学業とハウスボーイのアルバイト
最初の学期/日本人学生代表としてハワイ大学主催の教育者大会でスピーチ/ハウスボーイのアルバイトの苦労/父の西山紬店の倒産と帰国願い
第七章 ハワイ大学での学士号取得
長期留学の決断と山隈健二メモリアル奨学金/スピーチ学専攻の決心/言語障碍者の発声訓練クラス/旅行会社への転職
第八章 日系二世女性と結婚、そしてハワイ永住へ
結婚と長男誕生/小さな恩返しと新たなキャリアへの挑戦/ミネソタ大学のハウエル教授との出会い
第九章 ミネソタ大学での博士号取得まで
学生生活のはじまり/大学での毎日と家族サービス/論文研究開始前のコースワーク/論文研究の指導教員と調査のための東京滞在/ハワイ大学就職の思いがけないきっかけ/アンケート調査のデータ分析と論文執筆/ファイナル・ディフェンスの厳しさ
第十章 ハワイでの教育活動からアジアへ
ハワイ大学での教育活動/ハワイに帰った家族の生活/JAIMSのコンサルタントとなる/一九七四夏、東南アジア訪問と異文化研究
第十一章 ハワイと日本の架け橋となる
通訳能力と旅行会社経験を生かして/東海大学との交流/東海大学パシフィック・センター創立に携わる/東海大学本部とのすれ違いとハワイ大学への帰還
第十二章 香港とシンガポールでの客員教授経験
香港大学での経験/香港での生活/香港の出稼ぎ労働者たち/シンガポール・南洋理工大学での経験/シンガポールの歴史と人間関係
エピローグ

 

  • 四六判変型/上製本/本文184頁
  • 2000円(本体価格・税別)
  • ISBN978-4-89629-424-8 C0023