いのちの帰趨

鎌田東二 著

いのちの帰るところ──。
宗教学者の鎌田東二のがん闘病詩集。
グリーフケアの専門家は自らのがんにどう向き合うのか、死を受け入れ、揺れ動く心を率直に記した、入院中、退院後の詩30篇を収録。

 

本詩集は、一般社団法人日本宗教信仰復興会議様から出版助成を得ました。記して感謝します。

 

装画 「女の人(Woman)」岡元俊雄(やまなみ工房)
装丁 西田優子

 

■本書より

さまざまな火の処方がある中で
火伏せの山はそのどれにも生成変化する

 

そは 火を秘め持ちながらも 火を抑えること
もできる山
火を鎮めるための天地の清水を満々と堪える山

 

そんな 火伏せの山に わたしはなりたい
「火伏せの山」より

 

■著者

鎌田東二(かまた・とうじ)
1951年徳島県生まれ。詩人、神道ソングライター、石笛・横笛・法螺貝奏者。宗教学・哲学。京都大学名誉教授、天理大学客員教授。NPO法人東京自由大学名誉理事長、一般社団法人日本臨床宗教師会会長などを務める。著作は多数あり、詩集に『絶体絶命』(土曜美術社出版販売、2022年)、『開』(土曜美術社出版販売、2023年)ほか、最新刊『悲嘆とケアの神話論−須佐之男と大国主』(春秋社、2023年)。

 

■目次

いのちの帰趨/指先に告ぐ/漂流船/迷い/巴投げの叫喚/万華鏡の道徳/難破船/しばい/ブランカ/とりあえずの君/雲水/しばい2 一人芝居/ときじく/マヨルカ/白洲の海/鬼尽し/喪の作業/悲今 方丈記/鬼しぐれ/夢路山のウサギとカメ/笑い/とどのつまり/春/よっしゃん/あくび/最期の言葉/大妣の文学者・遠藤周作に捧ぐ/はるのことわけに~春分覚書/雨/火伏せの山
あとがき

 

 

  • A5判/上製本/本文128頁
  • 2400円(本体価格・税別)
  • 2023年7月刊
  • ISBN978-4-89629-422-4 C0092