不穏な時代を生きる私たちの心を守ってくれるものは文学であり詩である。ひとつひとつの言葉をつなぎ合わせて1篇の詩を生み出し、苦しい心も、寂しい心も、悲しい心も……つなぎ合わせて懸命に生きる。心に詩を継ぎ布のようにあてて困難に立ち向かう。24篇のパッチ・ワークス。
装丁 吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)
■著者
齋藤岳深(さいとう・たけみ)
1980年ニューヨーク市生まれ。早稲田大学卒。個人詩誌「鹿十字」発行。
■目次
波打つ谷戸も/鈍感/似ている我らの/追分/誰かの愛/ルリビタキを呼べ/帰ってきたか/藪の不始末/解題/趣味の問題/実る道行/鹿と十字架/再見/恢復する蔓/冬の夏草/リモートセンシング/パッチ・ワーク/パイドパイパー/冗談/盆踊り/砂防のとりこ/かぞえどし/バードストライク/オリエンテーション/
あとがき
■本書より
泣いて言うんだよく燃えそうな眼で
そんなに悲しい声出すのって
どんだけ苦しい事なのかって
あいつら燃えてまだ泣いてたぜ
──「鈍感」より
おいルリビタキ
はやく来てくれよ
もう間に合わないかもしれないよ
──「ルリビタキを呼べ」より
神様が迷い込んできそうだね
やっぱり、そうだったんだ
それがどうした
お前が呼んだせいなのに
──「パイドパイパー」より
- A5判/上製本(背継ぎ表紙)/本文104頁
- 2200円(本体価格・税別)
- 2023年6月刊
- ISBN978-4-89629-420-0 C0092