シンプルライフ

森邦夫 著

ひとりの老英文学者が、生涯の歩みを穏やかに慈しみながらも、コロナ禍、ウクライナ戦争と複雑骨折した世界の困難について考える。
愛猫が同士のシンプルライフは、さっぱりと背筋が立っている。
全24篇収録、円熟と軽みが溶け合う詩集。

 

■著者

森邦夫(もり・くにお)
1947年、宮城県生まれ。2013年まで鶴見大学文学部でアメリカ文学・文化を教えた。鶴見大学名誉教授。
著書に『音楽の記憶』(港の人、2020年)、『詩と絵画が出会うとき──アメリカ現代詩と絵画』(神奈川新聞社、2002年)、翻訳にマーク・ストランド『ほとんど見えない』(港の人、2017年)、『アメリカ現代詩一〇一人集』(共訳)(思潮社、1999年)、ほかに詩集『エドワード・ホッパーの絵 その他の詩』(私家版、2002年)などがある。

 

■本詩集より

毎朝、豆を挽いて苦みのあるコーヒーを飲むのが習慣だが
この生活が苦いわけではない。「ドルチェ・ヴィータ」とは言えない
「ヴィータ・ノーヴァ」でもない。苦くも、甘くも、新しくもない
むしろ「シンプルライフ」がふさわしい
──「ドルチェ(Dolce)」より

 

■目次

シンプルライフ
ドルチェ(Dolce)
フォト・スポット
海を見たい
電話、メール、時々手紙
朝、昼、晩
数の認識
「今宵ただ一人(Je suis seule ce soir)」
「亡き王女のためのパヴァーヌ」
バッハ「ゴルトベルク変奏曲」を聴いた後で
美術館・回想断片
アメリカは遠い
熱狂と悲惨から遠く離れて
株について
行き着くところ
ウクライナの女性
ドクダミ
過去に旅する
海に向かう
終わらない三重奏
猫と暮らす
猫と暮らす

遠い記憶
オジイチャン先生
野球狂時代
わたしのヒーロー
K先生のスナップショット

あとがき

 

 

  • 四六判並製本/カバー装/本文94頁
  • 1600円(本体価格・税別)
  • 2023年3月刊
  • ISBN978-4-89629-415-6 C0092