美しい人生

野村喜和夫 著

現代詩の最先端をリードする詩人が古希を迎え、新境地をひらいた53篇の最新詩集。いま存在していることの不思議さを感じるままに言葉の刺繡として美しく縫い込み、人生をうたう。
多数の詩集を上梓されている著者は、これまで経験していない造本をと希望され、フランス装を採用した。装画は津上みゆき氏の「View-24seasons」より「No. 17」、二十四節気をテーマとするシリーズの「寒露」に基づいて描かれた作品である。
装幀 間奈美子(アトリエ空中線)

 

■本書より

いかに生きるべきか
という問い
から離れれば離れるほど人生は美しい
蟋蟀ほどにもヒトは
全身で宇宙の寂しさをうたう
ことができない
それでも山をじっと見つめていると
山は山自身を脱いでゆく

      x(いかに生きるべきか——)より

 

■著者

野村喜和夫(のむら・きわお)
1951年埼玉県生まれ。早稲田大学卒。詩集に『難解な自転車』(藤村記念歴程賞)、『薄明のサウダージ』(現代詩人賞)、『妖精DIZZY』、評論に『移動と律動と眩暈と』(鮎川信夫賞)、『萩原朔太郎』(鮎川信夫賞)、『証言と叙情 詩人吉原吉郎』など多数。

 

 

  • A5判/フランス装/本文216頁
  • 2,800円(本体価格・税別)
  • 2022年9月刊行
  • ISBN978-4-89629-411-8 C0092
  • ※品切れ