柔らかな眼差しで、子どもだった自分と再会しよう――。
山形県庄内地方に生まれ、18歳で上京した著者は大卒後東京でがむしゃらに働く日々。けれど2011年の東日本大震災を機に故郷に戻る。そして故郷を見つめ直し、子どもの頃の自分と対話する。仲良しの子と山に登ったこと、兄たちと蛍を追いかけた夜、運動会、母親と交わした言葉、ある杜氏の生き方……。流麗な月山を仰ぐ庄内地方の美しい自然と、何世代も受け継がれてきた仕事に向き合う土地の人たちの働く姿に育てられてきた自分自身を見出し、未来へと希望をつなげていく。
子どもの時代の思い出をもとに土地に根をはる生き方の価値を綴り、鶴岡市大山のタウン誌で好評を得た連載をまとめた感動のエッセイ集。庄内地方の美しい風景写真(カラー5点)収録。
■目次
はじめに――子どもだった自分と再会しよう
第一章
大きな木の下で——素直な気持ちでいる心地よさ/心の木/あの蛍の夜/風来坊/自転車に乗れた/くやしさのプレゼント/蟬の声/白雪姫
第二章
この町・ノスタルジー——何に、誰に、会いたかったのだろう/わたしのスタンド・バイ・ミー/タイムトリップ木造校舎/母の背中と夏の台所/大山よい子の歌/名づける、ということ/ビーズと手仕事/あの夏の日の、湯野浜線/火鉢/父の口細カレイ/秘密/交差する坂道/初めての町へ月のような山
第三章
故郷の贈り物——わたしをつくってくれたもの/大好きなこと/雪見障子/あの日の小さな冒険/バトン——阪口静蔵記念図書館/友達の家/昭和の働く女性たち/祖母、六十六歳で画家になる/贈り物炎応量器/北風と太陽
おわりに
謝辞
■著者
櫻井田絵子(さくらい・たえこ)
人財醸し家・ファシリテーター。山形県鶴岡市生まれ。東京で人財教育の仕事に就いていたが、2011年の東日本大震災を機に、故郷に戻る。鶴岡市を主拠点にして人と地域を結ぶ「コワーキング・キッチン 花連」や人が輝く組織のための「オフィス櫻井」を営み、人財教育に携わる。さらに庄内地方の食材を世界に届けるプロジェクトや、地域とつながる「生きがい講座」、「子ども料理教室」などを共同開催。故郷の幸せを願い、文化振興に尽くしている。
- 四六判/上製本/カバー装/本文136頁
- 1500円(本体価格・税別)
- 2022年8月刊
- ISBN978-4-89629-409-5 C0095