現代韓国で世代をこえて愛されている詩人・呉世栄(オ・セヨン)の名作をセレクションした詩選集。2012年に刊行され、60篇の詩作品を収録する同タイトルの選集に、刊行後に発表されたなかから21篇を新たに加えた、日本語版オリジナル詩選集。
日本語版への著者序文、翻訳者、徐載坤(ス・ゼコン)による解説、呉世栄年譜を収録。
すべての存在が道具に転落してしまったこの時代の最後の砦である詩よ、言語の花よ、あなたに祝福がありますように。(本書「詩人の言葉」より)
現代文明社会の危機をいかに克服するのか、世界の喫緊の課題であるが、詩人・呉世栄は人間と自然が調和し融合するという道を追究し、社会と人間への愛情をあらわす詩の世界を展開する。
■目次
詩人の言葉 呉世栄
日本語版序文 呉世栄
Ⅰ
君を探す/遠視/遠い日/青い空のために/別れの日に/太平洋に雨降りて/風のうた/ライラックの陰に座り/どうして避けては行かないのか/空の詩/あなたの笛/千年の眠り
Ⅱ
別れの言葉/恋焦がれ果てたら/恋しい人が恋しくて/木のように/海辺で/雪花/実/冬のうた/待ちぼうけ/野花/僕を消して/羽化登仙
Ⅲ
生とは/母さん/ある日/宝石/夢見る病/咲く花が散る花と会うように/法について/矛盾の土/器/愛の方式/愛の妙薬/銀山鉄壁
Ⅳ
雁の行軍/天文台/避泊/羅針盤/日没/青いスカートのジッパー/剽窃/月食/干潟/音楽/ソウルは花の騒乱/春は花の大合戦
Ⅴ
一月/二月/三月/四月/五月/六月/七月/八月/九月/十月/十一月/十二月
Ⅵ
あの鴫はどこへ行ったのだろう/北洋航路/七十歳/ただ風が吹いた/砂の城/足跡/干潟/童話/一生/冬の朝/ペットボトル/渡り鳥/水墨画/出棺/性戯/マイナンバー/朗読/羽化/葉書/秋の雨音/星――母上
解説 徐載坤
呉世栄年譜
■著者
呉世栄(オ・セヨン)
現代韓国を代表する詩人。大韓民国芸術院会員。
1942年生まれ。70年第一詩集『反乱する光』から、今日まで約30冊の詩集を刊行。長年ソウル大学国文学科教授を務めた。自然との調和や融合をはかろうとする〈自然抒情詩〉といわれる独自の詩の世界を深めている。詩集は世界各国で翻訳されて、国際的にも著名。
■訳者
徐載坤(ス・ゼコン)
韓国外国語大学日本語通翻訳学科教授
林陽子(はやし・ようこ)
仁徳大学語文社会学部副教授
- 四六判変型/ソフトカバー/本文208頁
- 1800円(本体価格・税別)
- 2021年11月刊
- ISBN978-4-89629-398-2