日々の易経 三百八十四の物語

高間邦男 著

易経は今から3000年前、中国の周の時代に成立した思想で、儒教の四書五経の聖典のひとつである。日本の思想文化にも大きな影響を与えており、古くから政界や財界のリーダーたちは易経を学び、大きな決断の羅針盤として活用してきた。

易は、自然や人生、物事の変化を64のパターンに分類し、変化の道理を明らかにし、人がどのように行動すると、福が得られるかを教えている。また、さらにこまかく384の物語が書かれ、日々の吉凶禍福を指し示す。

本書は、50年にもわたって易経の研究を続けてきた著者が、多忙で、古文の苦手な現代人にもわかりやすいように、易経の智恵を分かりやすく解説した実用入門書。

六十四卦と三百八十四爻の解説により、日々の占いの吉凶禍福を見るとともに、日々のできことに対してどのような姿勢態度で臨むべきかの道徳的な学びも得られるように書かれている。

 

■本書「はじめに」より

 易経は、もともとは占いの書です。易経が成立した歴史は古く、今から三千年前にさかのぼります。紀元前1100年ころの中国の周の時代に完成しました。それで易経は周易《しゅうえき》とも言われています。作成にあたっては、論語で有名な孔子も関わっていたと伝えられています。その後、朱子学でなじみのある朱熹《しゅき》などの、多くの知識人・学者たちによって道徳や哲学を探究する書としても研究が重ねられ、今日まで伝わってきています。私たちの日常の言葉の中にも、易経からの引用が数多く残っています。易経は中国や日本の思想文化に大きな影響を与えてきたのです。

現代人で東洋思想に多少でも関心がある人は、儒教の四書五経の聖典の一つである易経とはなんだろうかと、興味を引かれたことがあるのではないでしょうか。

(中略)

本書は六十四卦のそれぞれの卦の卦辞と言われる経文とそれについての解説、六爻の爻辞とその解説を掲載しています。易経の経文は、もともと漢文(白文)ですので、それをどのように日本語として読み下すかには、様々な読み方があります。この本では、著名な書籍で用いられている読み方を比較参照しつつ、現代人にとって意味が分かりやすく響きが良いと筆者が思う読み方を選びました。

 

■著者

高間邦男(たかま・くにお)

1950年東京生まれ。神奈川県湯河原に在住。明治大学商学部卒。産業能率大学総合研究所講師を経て、1985年株式会社ヒューマンバリューを設立(設立当初は有限会社アーム)。現在、株式会社ヒューマンバリュー会長。個人的な塾などを主宰。
ソーシャルスタイルによるリーダーシップ開発、行動科学から生まれたセールス理論に基づくセールスプロセス理論の開発、学習する組織、システム思考、人びとの働きがいと主体性を引き出す人事制度、AI/OSTなどのポジティブアプローチ、定性的な組織診断、ACT、オープンダイアローグ、アジャイル組織などの調査研究を行なってきた。
趣味のライフワークとして、公共哲学、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教などを継続的に学習している。易経とは50年親しんできた結果、易経には学習する組織や自律分散型組織のあり方と統制型組織の良さを融合させた世界観があり、自利利他の道徳観を日々の状況に適応させる生き方を説くものだと理解している。

著書に、光文社新書「学習する組織」、光文社新書「組織を変える仕掛け」、ダイヤモンド社刊「あなたの中の『変える』チカラ」がある。

 

 

  • 四六判/並製本/カバー装/本文280頁
  • 2300円(本体価格・税別)
  • 2021年6月刊
  • ISBN978-4-89629-395-1 C0010