聖人伝 プロティノスの彼方へ

立木鷹志 著

ニコラ・フラメルの『象形寓意図の書』の著者は誰なのか? ジャンヌ・ダルクの盟友から稀代の殺人鬼になったジル・ドレの錬金術は失敗だったのか? テンプル騎士団の隠された財宝の謎やジャック・クールの錬金術の秘密を解こうと企図する紅冠鳥(カーディナル)戦闘団に巻き込まれた久留米亮平は、事態の進展とともに、その鍵である《神秘の石》を求めてテンプル騎士団の町プロヴァンに辿り着く。……

現代フランスを舞台としたこの小説は、〈無限〉の謎を探究する天路歴程(ロード・ストーリー)ともいえる。

埴谷雄高と長く交わり、その思想世界を受け継いだ小説家、立木鷹志の遺作。生涯をかけて深めた哲学と博覧強記を駆使し、命を注ぎ込んで完成させた、最後の形而上小説。

 

■目次

第一章 謎めいた邂逅

第二章 真夜中の散歩

第三章 冒険への出発

第四章 〝森の隠者〟

第五章 無限と革命への道

第六章 象形寓意図の夢

あとがき

 

■著者

立木鷹志(たちき・たかし)

1947年生まれ。埼玉県出身。早稲田大学文学部中退。作家・翻訳家。著書に『虚霊』(新宿書房)、『夢の形をした存在のための黙示録』(沖積舎)、『夢と眠りの博物誌』『媚薬の博物誌』(青弓社)、『時間の本』(国書刊行会)、訳書に『大アルベルトゥスの秘法』(河出書房新社)、『夢の操縦法』(国書刊行会)ほか。2021年4月没。

 

 

  • 四六判/上製本/貼函入/本文576頁
  • 5000円(本体価格・税別)
  • 2021年4月20日刊
  • ISBN978-4-89629-389-0  C0093