酒を愛し、自由を愛した詩人、田村隆一。そして詩人が愛した鎌倉。
第一詩集『四千の日と夜』で鮮烈なデビューを飾り、「荒地派」の中心的存在として戦後の現代詩を牽引した詩人・田村隆一。鋭利な詩句は詩壇をこえて、文学、芸術一般へも影響を与えたと言われる。また酒や銭湯を愛し自由を実践する飄々とした生き様、ファッションブランドのモデルを務めるほどの風貌で、広く人気を集めた。
本書は、47歳から75歳まで、材木座、稲村ヶ崎、二階堂と居を移しながら終生暮らし、愛した鎌倉を題材にした作品を厳選。詩人ならではの眼を通した鎌倉の姿が浮かび上がってくる。
◎収録作品33点(詩21点・エッセイ12点)
◎モノクロポートレイト3点収載 写真:山田愼二
◎「田村隆一散歩図」(作品に登場する地名の地図)付き
◎解説 宮崎真素美(愛知県立大学教授)
■著者
田村隆一(たむら・りゅういち)
1923‒1998。東京生まれ。1947 年、鮎川信夫、北村太郎らと『荒地』創刊、戦後の現代詩を牽引する。第一詩集『四千の日と夜』、『言葉のない世界』(高村光太郎賞受賞)が高い評価を受ける。1970 年に東京から鎌倉へ転居し、終の住処となる。死の直前に刊行された『1999』に至るまで生涯にわたって詩作を続けるほか、評論、随筆、翻訳なども数多く手がけた。
■目次
春/見えない春/さかさ川早春賦/咲く/偕楽/鎌倉山のダンディなライオン/滑川午睡歌/ヒグラシ/海の言葉/一品香/わが町/白い波頭/鎌倉──ぼくの散歩道/十三秒間隔の光り/鎌倉の人──大佛次郎『敗戦日記』/夏至から冬至まで/朝 ぼくはなぜ/鎌倉逍遙/滑川哀歌/小路と小路をつなぐ秋/七里ケ浜より夕陽を見る/秋の黄金分割/洋館という不思議なお化け屋敷/亀が淵ブルース/ぼくの野原/路地と生きるヒト・文化/鎌倉の枕/夜の江ノ電/海へ出る小路/鳥・西風/牡蠣/新年の手紙(その一)/色
解説 宮崎真素美
- 四六判変型/並製本/カバー装/本文168頁
- 1600円(本体価格・税別)
- 2020年12月4日
- ISBN978-4-89629-383-8 C0095