2013年現代詩花椿賞に輝いた第3詩集『アナザミミクリ』から、6年という歳月をかけて修練し実らせた渾身の傑作「詩人の神話」、8篇の書き下し作品。
からだの深い深い層、芯に記憶している〈詩〉を、うちから囁きかける声のかすかな響き、言葉の震えをさぐりながらようやく書き留める「詩人の神話」、あるいは「再生への祈り」。
詩集の水面ぎりぎりにたたえられている悲しみは一瞬堰をきって、この不毛な世界へ溢れ出して来るだろう。
カバー写真は、志賀理江子写真集『カナリア』より「白山」。
第35回詩歌文学館賞[詩部門]受賞
■収録作品より
「よばれびと〈動物〉」
一生のうちいくつのふくろうを
固定しないかたちで
やったのだろう
それでも一点は自力でさして
ふみこたえる
自生する生きものたち
そこに名をふきこむな
みのたけもきごころも永遠にみたない
反復する わたしたちは
■著者
藤原安紀子(ふじわら・あきこ)
詩人。1974年京都府宇治市生まれ。
詩集
『音づれる聲』2005年 書肆山田 歴程新鋭賞
『フォ ト ン』2007年 思潮社 新しい詩人シリーズ10
『ア ナザ ミミクリ an other mimicry』2013年 書肆山田 現代詩花椿賞
■目次
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動物の修復
じかん 〈庭園〉
あみうた 〈泉〉
デラソーワ 〈家〉
森 〈再生〉
ἐντολαί
キュポス 〈星〉
ἑταῖροι
よばれびと〈動物〉
- A5判変型/コデックス装/カバー装/本文144頁
- 2,800円(本体価格・税別)
- 2019年10月刊
- ISBN978-4-89629-368-5 C0092
- ※品切れ