祝日たちのために

中嶋憲武 著

2018年、第4回攝津幸彦記念賞・優秀賞を受賞した気鋭の俳人の、句(120句)+銅版画(13点)+散文(17篇)を収めたユニークな第一句集。句は2018年にツイッターで呟いたツイッター句であり、時代の風景にスリリングに迫っている。

 

■収録作品より

蟻塚を越え来て淋しい息つく

 

夏炉あかるく人語に星を数へ得ず

 

海の鳥居の晩春の石は鳥になる

 

手が空いてゐる月白の舟を出す

 

葛湯吹いて馬の体躯の夜がある

 

やがて集まってくる祝日たちの為に、カーテンの微笑を繕うことは、誰でも一度は経験のあることであるが、逃走する国家は最早何を考えているのか……(散文より)

 

■著者

中島憲武(なかじま・のりたけ)

1960年東京都大田区生まれ。1994年10月より石寒太に師事。「炎環」「豆の木」所属。炎環同人。2011年、週刊俳句より電子ブック「日曜のサンデー」という掌編小説集を発行。2018年、第4回攝津幸彦記念賞・優秀賞受賞。

 

■目次

薄目あく

日日

尽未来際

ものいふ鳥

しのりがも

最初の微笑

バルンガレディ

杉菜の住所

対位法

鳥目のむかし

都会昏迷

からりと影

あとがき

 

 

  • 四六判変型/並製本/本文104頁
  • 1,500円(本体価格・税別)
  • 2019年7月刊
  • ISBN978-4-89629-362-3 C0092