ある正金銀行員家族の記憶

八木和子 著

大正9年生まれの著者は、横浜正金銀行(東京銀行の前身)のエリート工員であった父親と共に、ロンドン、上海、カルカッタなど世界7都市を転々として少女時代を過ごす。本書は、その多感な少女が見た大正から終戦までの激動の時代を、独自のユーモアをまじえた自由闊達な語り口で綴る、躍動感あふれるノンフィクション。

2012年に本書の執筆を思い立った著者は、5年の歳月をかけて完成させた。97歳の著者が書いた青春物語はのびやかに明るく、楽しい。

 

■著者

八木和子(やぎ・かずこ)

1920年、茨城県水戸に生まれる。

1922年より1940年まで、横浜正金銀行勤務の父、今川義利の転勤に伴い、ロンドン、上海、東京、横浜、大連、奉天(現在の瀋陽)、カルカッタ(現在のコルカタ)、スラバヤ、バタビア(現在のジャカルタ)に滞在し、小学校5回高等女学校3回転校。奉天浪速高等女学校卒業後、英国領インドで、カルカッタ王立音楽学校に学ぶ。

1944年、45年、レーダー開発の多摩陸軍技術研究所川崎研究室勤務。

戦後は音楽教育をライフワークとし、2008年まで自宅でピアノと音楽通論を教える。

2018年3月、鎌倉の自宅で永眠。

 

■目次

はじめに

水戸藩士たち/イギリスからの便り/日露戦争/多け乃、義利と出会う/今川家/よっちゃんとたけちゃん/荒城の月/多け乃、豊田芙雄(ふゆ)先生のいる水戸高等女学校へ/義利、東京帝国大学に入学/帝大生の時代/横浜正金銀行に入行、大阪支店詰となる/多け乃の出産と大阪行き/義利、桑港(サンフランシスコ)へ出発/さいべりあ丸/和子誕生/ニューヨーク出港/多け乃、子連れで倫敦(ロンドン)へ/家族五人で帰国/緊迫の上海へ/早稲田の町へ引っ越し/横浜本店勤務時代/満州国大連/奉天支配人時代/ママと三姉妹ふたたび横浜へ/インドへの出発/インド/オランダ領東インドへ/スラバヤとバタビア/開戦、三度目の横浜/終戦

あとがき

著者略歴

参考文献・資料

 

 

  • 四六判/上製本/カバー装/本文332頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2019年3月刊
  • ISBN978-4-89629-358-6 C0095