日曜歌集 たび

吉竹純 著

◎平成23年の歌会始の入選者である歌人は、朝日歌壇、読売歌壇、毎日歌壇、日経歌壇などの新聞歌壇に投歌する常連者。本歌集は入選短歌(2008~18年、全391首)を収める。前著『投歌選集 過去未来』(河出書房新社、2008年)の続刊。

◎応募から、当日の歌会始の様子など一部始終を濃密にレポートしたエッセイ「平成23年 歌会始に選ばれて」は圧巻、読み応え十分である。

◎巻末エッセイ「日曜歌人の思い」は、新聞歌壇の意義、短歌の楽しみ方について詳しくふれ、結社や同人誌に属さない、あたらしい短歌の付き合い方を提案する。また新聞歌壇に応募する際に必ずヒントになる。

 

■収録作品より

生涯を雨にぬれずに終るのか家猫〝たび〟は窓を離れず [日経歌壇 穂村弘選]

 

薔薇色の空ゆつくりと褪せながら夜へ溶けだすフィレンツェの空 [毎日歌壇 河野裕子選]

 

単線の電車しずかに春の畑耕すように日に五往復 [読売歌壇 俵万智選]

 

サンライズ出雲の窓をあかときの雲は流れて初島が見ゆ [東京歌壇 年間賞 月間賞 佐佐木幸綱選]

 

背丈より百葉箱の高きころ四季は静かに人と巡りき [平成二十三年歌会始 お題「葉」 入選]

 

温風の下りて当たる部屋の隅猫は正座す老師のごとく [朝日歌壇 馬場あき子選]

 

■著者

吉竹純(よしたけ・じゅん)

1948年、福岡県若松市(現、北九州市若松区)生まれ。72年、東京外国語大学フランス語科卒業。(株)電通入社、クリエーティブ局配属。87年、第35回朝日広告賞(ミノルタカメラ)。89年、第2回「日本推理サスペンス大賞」最終候補作(「もう一度、戦争」)。2000年、㈱電通退社。コピーライター。02年、毎日歌壇賞(河野裕子選)。05年、第11回与謝野晶子短歌文学賞。読売歌壇年間賞(俵万智選)。08年、『投歌選集 過去未来』(河出書房新社)。10年、東京歌壇年間賞(佐佐木幸綱選)。11年、歌会始入選(お題「葉」)。結社、同人誌などに所属せず。

 

■目次

二〇〇八年/二〇〇九年/二〇一〇年/二〇一一年/平成二十三年 歌会始に選ばれて/二〇一二年/二〇一三年/二〇一四年/二〇一五年/二〇一六年/二〇一七年/二〇一八年/日曜歌人の思い

 

 

  • 四六判/上製本/カバー装/本文252頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2019年1月刊
  • ISBN978-4-89629-354-8 C0092