いまここにあること、ここに生きること苦しいのか、悲しいのか、楽しいのか、絶望するのか、その答えを拒絶するかのように、詩がうなり自由に躍動する。詩人今唯ケンタロウが詩の鼓動を刻んだ第1詩集、24篇の作品。
■本詩集より
意識の瑪瑙
意識の瑪瑙が沈殿する
しかばねの森
羽雪
しましまのあざらし探している
大陸に向かう異形船、貿易船
どんなしじまに包まれて
眠りのなかで乱暴げなダンス繰り広げ
ハッピーマウンテン、
アンハッピーマウンテン
意識の瑪瑙 閉じ込めた
しかばねに羽雪
しまぱんだ
しまくじら
しましまのあざらし
しましまへの進化の糸口が垂れ下がるその森へ
貿易船は沈みゆく 意識の瑪瑙 積んだまま
■著者
今唯ケンタロウ(いまゆい・けんたろう)
1980年生まれ。
2009年ユリイカの新人(辻井喬・選)
■目次
I
意識の瑪瑙/果てしない試み/サンダーリンダ/キャンディ/Let’s 可愛い死肉/首切り宝石アミューズメント/ガルー船/労働者の川/陰気な競馬/クロコダイル
II
憂鬱の城/象の船/水路/隠者/田園/すてきなドライブ/南への旅をつづけようと思う
III
南の島々/南の家/空の家族/スネーク/船底の灯かり/ゆるぎのない宿
南風の海
- 四六判変型/仮フランス装/本文72頁
- 1,300円(本体価格・税別)
- 2018年9月刊
- ISBN978-4-89629-351-7 C0092