バベル

村田マチネ 著

短歌、詩、小説と、多彩な創作活動ながら、人間観察、世情に鋭く、諧謔あり、批評精神も旺盛で、ひとりの市民が懸命に生きる姿が、この詩歌集に凝縮されている。

歌人は、人生は間尺に合わないことばかりというが、それでも果敢に人生を乗り越え、既成の概念や使い回しされた言葉を壊しては、あたらしい作品に挑戦し続ける。気負いも衒いもなく、人生の詩の真実を探し求めている。

 

■収録作品より

東日本の大気が不安定という ちぎり絵を貼る いっしんにいっしんに

 

あかね雲夕餉買い出し鐘の音ねずみ浄土の時間でもある

 

歩こうよ花のトンネル来世にてまた会う場所を決めておくため

 

■著者

村田マチネ(むらた・まちね)

1955年 千葉市生まれ

1996年 「手切り川の秘密」にて第六回ぶんけい児童文学賞 佳作

1997年 同作品を大幅修正し毎日中学生新聞に3カ月間連載

2004年 第一詩歌集「アルカイックセンチメンタリズム」を思潮社より出版

日本児童文学者協会会員

 

■目次

短歌

初夏の大地/空の青さに向けて/夜半の目覚め/青春短歌/恋人たちの卒業証書/恋の歌◯◯系/冬の景色/童話Ⅰ/童話Ⅱ(二連短歌)/ひさかたの/あの夏/輪廻転生/弱者 貧困 またはその予備軍/夢の中で見た風景/整列乗車(人身事故のアナウンスの後で思ったこと)/居酒屋を出て/春、かもしれない/泣くということ/世界史の旅/涙と変わるための水/ある母の晩年/ユートピアノの町を歩いて/春夏秋冬/男子に生まれて/一人歩き/悲しみの果実/ベランダに星のある夜/目立たぬひとびと/世界は愛/祭の夜

 

変種短歌

輪廻転生三途の川に(回文短歌)/秋の鬼(ローマ字回文)/各駅停車で千葉から上京する剣士/雨傘/俳句から転化した短歌/皮肉かつゴーマンな短歌/短歌で昔ものがたり/悪路王(寺山修司と宮澤賢治へのオマージュ)/バーニングマン祭(短歌で綴る詩)/短か歌(文字数をできるだけ短く作った短歌)ファゴット(自由律短歌を繫げた詩)

 

話したことのない店長/トゥルー・ロマンス/アーミッシュの馬車/九つの短詩/いつかあなたは(平成歌謡曲)/リターン・トゥー・フォーエバー/真夜中のシックスティーズ/駅前のメロン売りの口上

 

ショートストーリー

それぞれの死 Ⅰ 最良の夫婦/Ⅱ 律儀な泥棒/Ⅲ 妖怪

 

ミニマムストーリー

賢者か愚者か

 

創作短篇

想像未来 凶悪犯罪者の処遇

 

 

  • A5判/上製本/カバー装/本文134頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2017年4月刊
  • ISBN978-4-89629-329-6 C0092