夷隅川

宇佐美ゆくえ 著

千葉県房総半島の夷隅川のほとりの山里で暮らす歌人が、四季おりおりの色濃い自然の様子や愛する家族、夫の姿をうたう約700首の歌をまとめた。故郷を愛し、畑仕事を楽しんで子どもや孫を見守り、長く患った夫をあつく介護するその日々の営みが穏やかに描かれている。歌とともに生涯を歩み、90路を越えた歌人が初めて編んだ本歌集は、「人生、かくも素晴らしい」と、生きることの感謝と喜びがあふれている。

 

■跋文

愛しい川、愛しい人びと、けものたち。

読み終えたとき、心の中にふるさとが増えていました。

雪舟えま(歌人・小説家)

 

■収録作品より

新涼の風にまじりて乾きたる稲の匂えりふるさとの駅

 

雨蛙夫病む窓にながく居て日にいく度かカイカイと鳴く

 

光りつつ流れて止まぬ夷隅川ひとのみ老いて橋をゆき交う

 

■著者紹介

宇佐美ゆくえ(うさみ・ゆくえ)

本名、宇佐美行栄

1923年2月生まれ

千葉県大多喜町小谷松出身

1946年、宇佐美二三男と結婚

1967年、大多喜町学校給食センター勤務

大多喜町立保育園給食室勤務

1981年退職

 

■目次

とめぐり橋/夷隅川/梅ヶ瀬/城下町/背負い籠/やどり木/雪ふれば/机がわりの板/メタセコイヤ/こやまつ/田の神/鈴虫の籠/重き戸/小公園/金魚/蟬のぬけ殻/天津小湊/お羽黒とんぼ/小松原/海獣ショー/安房の海/小法師/二輪草/蟻の行列/チロ/ゴマ虫と仔犬/白菜/あじさい濡れて/こころの旅/寒わらび/遠ほととぎす/梅咲けば/アイオン台風と沖縄の旅/槇垣のむこう/あさり舟/うさぎ苔/レモンのごとき月/絵手紙/ういろう売り/古き掛け時計/七ふしの来て/膝の手術/郵便受け/あめ玉三個/語りべの里/大きな芋/みすゞの詩/味噌炊き/ケアーバス待つ/提灯持ちて/ハンバーグ/萩/象の園/蕗のとう/笹の散る/ケ・セラ・セラ/光のアート/真間川/枇杷の実/私のすべて

 

「緑の中の、愛の歴史」雪舟えま

 

あとがき

 

 

  • 四六判/ソフトカバー/本文232ページ
  • 1,600円(本体価格・税別)
  • 2015年5月刊
  • ISBN978-4-89629-298-5 C0092