英語箋 前編 村上英俊閲 研究・索引・影印

飛田良文 監修
多田洋子 編著

『英語箋 一名米語箋』(前編[英和の部]3巻、1857年(安政4)、後編[和英の部]4巻、1863年(文久3))は、洋学者村上英俊が、イギリス人宣教師W. H.メドハースト(W. H. Medhurst)の“AN ENGLISH AND JAPANESE AND Japanese and English VOCABULARY”(『英和和英語彙』、1830年)を翻刻したもので、日本で最も早い時期に刊行された英和和英の単語集のひとつとして近代語研究、英語史研究上の名著とされる。

本書は、研究、索引、影印の3部で構成されている。研究は最新の研究成果をまとめ、索引(日本語索引、英語索引)は、前編[英和の部]3巻に収録された英語(5100語以上)と訳語の日本語をそれぞれ索引化した。影印は、前編3巻を公開した。

底本は東北大学図書館蔵を使用した。

幕末維新期の近代語、翻訳語、英語事情を知る上で不可欠な重要文献。

 

■本書「研究」より

『英語箋』は英国人宣教師Walter Henry Medhurst(以下、メドハースト)の“AN ENGLISH AND JAPANESE AND Japanese and English VOCABULARY”(以下、『英和和英語彙』)を翻刻したものである。『英和和英語彙』は、バタヴィア(現在のインドネシアのジャカルタ)で天保元(1830)年に編集され、出版された英和・和英の単語集である。

メドハーストは寛政8(1796)年ロンドンで生まれた。吉田(1985)はメドハーストの生涯を以下のように述べている。メドハーストは小学校を卒業した(中退という説もある)のち、印刷工場で働くようになり、印刷技術を習得した。当時キリスト教徒の間では、東アジアに伝道する動きがあり、メドハーストも宣教師として準備をすると同時に、中国語・マレー語を修得する。

 

■監修

飛田良文(ひだ・よしふみ)

1933年生まれ。国立国語研究所名誉所員。日本近代語研究会会長。国際基督教大学アジア文化研究所客員所員。

著書・編書に『東京語成立史の研究』(東京堂出版)『明治生まれの日本語』(淡交社)『国定読本用語総覧』(国立国語研究所・三省堂)『三省堂国語辞典』(三省堂、第四版から)『現代日葡辞典』(小学館、ロドリゲス通事賞受賞)『大辞泉』(小学館)『哲学字彙訳語総索引』(笠間書院)『日本語学研究事典』(明治書院)『ヘボン著和英語林集成 初版・再版・三版対照総索引』(港の人)『改訂増補哲學字彙 訳語総索引』(港の人)『国立国語研究所「日本大語誌」構想の記録』(港の人)など多数。

 

■編著

多田洋子(ただ・ようこ)

上智大学文学部、カリフォルニア州立大学フレズノ校大学院人文学部を経て、国際基督教大学大学院教育学研究科修了。

博士(教育学)。専門は英語教育学。元城西国際大学准教授。

主要著書・論文に『外国人留学生のカルチャー・ショック-ホームスティ・マニュアル』南雲堂(1995)、「高嶺秀夫と開発教授法」『英学史研究 第37号』日本英学史学会(2004)、「学力の測定と評価」『英語科教育のフロンティア―充実した実践を目指して―』青木昭六編、保育出版社(2012)。

 

■目次

「監修のことば」飛田良文

凡例

I 研究

1 編者 村上英俊

2 書誌

3 『英語箋』と『英和和英語彙』の比較

4 『英語箋』の表記法

 

II 索引

日本語索引

英語索引

 

III 『英語箋 前編』村上英俊閲 影印

『英語箋 前編』一 影印

『英語箋 前編』二 影印

『英語箋 前編』三 影印

 

「あとがき」多田洋子

 

 

  • A5判/上製本/カバー装/本文678ページ
  • 11,000円(本体価格・税別)
  • 2015年4月刊
  • ISBN978-4-89629-297-8 C3081