本書は、永禄2年本系「節用集」の一種である高野山大学図書館収蔵の『節用集』上下巻(2冊)を影印として公開した。室町時代末期の写本で、宮内庁書陵部蔵の『尭空本』と同じく、零本ではなく完本であり、学術的価値はきわめて高い。
■「解題」より
ここに採り挙げる高野山大学図書館蔵『節用集』(写本二冊)は謂はゆる「永禄二年本」類に属する一本である。室町時代末期の写本で『尭空本』や『経亮本』と同様に、零本ではなく完本であり、「節用集」研究上洵に賞づべきテクストである。高野山大学図書館に収蔵される以前は高野山の霊宝院の蔵書であった。上下各冊の第一紙(上冊は表紙が欠落するので本文第一丁表、下冊は表紙)に「霊宝院蔵書」のラベル「字彙部/第十五函/共二冊」が貼られてゐる。縦二八センチ、横一九・八センチ。上冊の墨付は七一丁、下冊の墨付は六一丁にて、上冊は[伊部]~[久部]、下冊は[屋部]~[須部]となってゐて、[為部][於部][恵部]には本文は存せず、それぞれ[以部][遠部][江部]に統合されてゐる。部類(門)は一二門が基本である。
木村晟
■監修
近藤聖欣(良一)
北大寺住職、駒澤大学名誉教授、苫小牧駒澤大学元学長
■編輯
木村晟(きむら・あきら)
駒澤大学名誉教授、博士(文学)、近思文庫主宰
片山晴賢(かたやま・はるかた)
駒澤大学名誉教授、苫小牧駒澤大学前学長、近思文庫事務局長
■目次
発刊の辞(近藤聖欣)
高野山大学図書館蔵 節用集 本文と解題(木村晟)
編輯後記(木村晟/片山晴賢)
- A5判/上製本/本文312頁/函入
- 12,000円(本体価格・税別)
- 2014年10月刊
- ISBN978-4-89629-284-8 C3381