晩年にみる英米作家の生き方 モーム、ミラー、アップダイクほか15人の歩んだ道

江藤秀一 編著

◎齢を重ねた英米文学の巨匠15人。晩年になってから花咲く人、頑張る人、恋する人、病気で苦しむ人……彼らの生き方は多くの魅力に満ちている。

◎各巨匠の歩みが、これから人生のゴールへ向かうすべての人のためのヒントとなる。高齢化時代の今だから読みたい、英米の代表的長生き作家の晩年に焦点をあてたユニークな評伝集。

◎児童文学作家のインガルス・ワイルダー、ノーベル文学賞作家のゴールディング、英国桂冠詩人のワーズワス、アメリカ現代文学を代表する作家のひとりアップダイクら、古典から現代にいたる英米文学の「長寿にして巨匠」のバラエティに富んだ15人を厳選、13の章で巨匠たちの晩年にせまる。◎巻頭に取り上げた作家の生没地の地図、巻末に各作家に関する理解を深めるための参考文献リストも収載。

 

■登場する15人の作家と主要作品

ローラ・インガルス・ワイルダー(「インガルス一家の物語」シリーズ)

ウィリアム・ゴールディング(『蠅の王』『後継者たち』)

ルーシー・マリア・ボストン(「グリーン・ノウ物語」)

ジェフリー・チョーサー(『カンタベリー物語』)

マーク・トウェイン(『トム・ソーヤの冒険』『不思議な少年』)

ジョン・アップダイク(『走れウサギ』『ケンタウロス』)

ウィリアム・ワーズワス(『叙情民謡集』『湖水地方案内』)

サミュエル・テイラー・コールリッジ(『老水夫行』『クリスタベル姫』)

ラルフ・ウォルドー・エマソン(『自己信頼』『自然について』)

サミュエル・ジョンソン(『英語辞典』)

トマス・スターンズ・エリオット(『キャッツ』『荒地』)

サマセット・モーム(『月と六ペンス』『諜報員アシェンデン』)

ヘンリー・ミラー(『北回帰線』『マルーシの巨像』)

ジーン・アイリス・マードック(『網のなか』『ジャクソンのジレンマ』)

ジョン・ベイリー(『作家が過去を失うとき―アイリスとの別れ』)

 

■「あとがき」より

(本書に登場する)これらの作家たちには早くから才能を花開かせた作家もいれば、遅咲きの作家もいる。また、晩年は病と闘いながらも、それに屈することなく前向きに生きた作家もいれば、多くのファンに支えられながら栄光に包まれてこの世を去った作家もいる。痴呆症になった女流作家と彼女を支えた夫もいる。また、若いころには結婚の失敗を経験したものの、晩年は愛に包まれて幸福な人生を送った作家もいる。どのような晩年であろうとも、これらすべての作家に共通していることは、彼や彼女が独自の世界を打ち立て、己の心の声に素直に従って生きた人たちばかりであるということである。そういう意味では幸せな人たちばかりである。本書を手にしてくださる皆様が、第二の人生を歩むにあたってこれらの作家たちの人生から何かを感じ取っていただければ幸いである。

 

■編者(執筆者)

江藤秀一(えとう・ひでいち)

英文学者。筑波大学人文社会系教授。専門は18世紀イギリス文学、イギリス文化。編著書に『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』ほか。

 

■執筆者

青山加奈(あおやま・かな)

日本大学生物資源学科非常勤講師/専門:19、20世紀イギリス小説

相原雅子(あいはら・まさこ)

白百合女子大学文学部非常勤講師/専門:20世紀イギリス文学

安藤聡(あんどう・さとし)

大妻女子大学比較文化学部教授、博士(文学)

専門:イギリス小説、児童文学、イギリス文化史

大木理恵子(おおき・りえこ)

白百合女子大学キリスト教文化研究所所員/専門: アメリカ文化、アメリカ文学

大和久吏恵(おおわく・りえ)

日本女子体育大学准教授/専門:英語教育、イギリス児童文学

木原文子(きはら・ふみこ)

関東学院大学非常勤講師/専門:エリザベス朝演劇

木村聡雄(きむら・としお)

日本大学教授/専門:中世英文学、比較文学

白石治恵(しらいし・はるえ)

酪農学園大学農食環境学群准教授/専門:イギリス・ロマン派文学(P. B. Shelley)

鈴木章能(すずき・あきよし)

長崎大学教育学部教授、蘇州科技大学外国語学院客員教授、博士(英文学)/専門:アメリカ文学、比較文学

瀬上和典(せのうえ・かずのり)

東京家政大学非常勤講師/専門:19世紀アメリカ文学

林惠子(はやし・けいこ)

東京成徳大学人文学部非常勤講師/専門:20世紀アメリカ文学・文化

山田利一(やまだ・としかず)

岐阜市立女子短期大学国際文化学科教授、博士(文学)/専門:比較文学・比較文化

 

■目次

I 老いてなお挑戦の日々

「精一杯の力で生き抜いた人生」大木理恵子

ローラ・インガルス・ワイルダー(Laura Ingalls Wilder, 1867-1957)

「名作の陰に隠れた老賢者の肖像」安藤聡

ウィリアム・ゴールディング(William Gerald Golding, 1911-1993)

「家を守り、家と生きる」大和久吏恵

ルーシー・マリア・ボストン(Lucy Maria Boston, 1892-1990)

 

II 生涯現役を貫く

「『カンタベリー物語』に捧げた晩年」木村聡雄

ジェフリー・チョーサー(Geoffrey Chaucer, 1343?-1400)

「奇想天外、トウェインの冒険人生」林惠子

マーク・トウェイン(Mark Twein, 1835-1910)

「神から授かった天職を生きる」山田利一

ジョン・アップダイク(John Hoyer Updike, 1932-2009)

 

III 病を受け止め悔いのない人生

「困窮に打ち克ち、病と闘った生涯」江藤秀一

サミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson, 1709-1784)

「ロマン派という革命を起こした「戦友」」白石治恵

ウィリアム・ワーズワス(William Wordsworth, 1770-1850)/サミュエル・テイラー・コールリッジ(Samuel Taylor Coleridge, 1772-1834)

「愛し、愛された人々に囲まれた最終講演」瀬上和典

ラルフ・ウォルドー・エマソン(Ralph Waldo Emerson, 1803-1882)

 

IV 愛に満たされ愛に生きる

「主知派詩人の愛を追い求めた人生」相原雅子

トマス・スターンズ・エリオット(Thomas Stearns Eliot, 1888-1965)

「その愛の絆」木原文子

ウィリアム・サマセット・モーム(William Somerset Maugham, 1874-1965)

「心の声に従い、愛に包まれて生き抜く」鈴木章能

ヘンリー・ミラー(Henry Valentine Miller, 1891-1980)

「アルツハイマーの作家に寄り添うということ」青山加奈

ジーン・アイリス・マードック(Jean Iris Murdoch, 1919-1999)/ジョン・ベイリー(John Oliver Bayley, 1925-)

 

 

  • 四六判/並製本/カバー装/本文278頁
  • 2,300円(本体価格・税別)
  • 2014年7月刊
  • ISBN978-4-89629-280-0 C0023