永瀬清子、小川洋子、太宰治、井伏鱒二、松尾芭蕉、小林一茶、伊藤香織、谷川俊太郎、多和田葉子、野木桃花、川上弘美、尾崎一雄、河井酔茗、栗本薫、宮沢賢治、佐伯一麦、前川佐美雄、内田百閒、尾崎翠、金子光晴 著
◎苔、羊歯、茸、黴、麹、海藻……。町の片隅、山の奥や海の底にひっそりと息づき、鮮やかな花や大きな木々のように人間たちに注目されることもなく、ときには敬遠されがちな、これらの生物たちもまた、命の営みを日々活発に行ない、私たちの暮らしや環境を支えてくれる大切な存在です。本書は、これらの生物が登場する小説や詩を集めたアンソロジー。ふだん見落とされがちな、自然界の密やかな存在に目を向けた諸作品を「胞子文学」と名づけ、文学の新しい楽しみ方を発見します。
◎2010年に弊社より限定部数刊行し、完売となった『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)の姉妹編。ブックデザインは、吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)。
◎表紙に銀の箔を飾った通常版の他に、表紙に緑色の箔を飾った「『胞子文学名作選』苔バージョン/限定300部」も刊行(その他の内容・仕様に違いはありません)。
■ 編者
田中美穂(たなか・みほ)
1972 年、岡山県倉敷市生まれ。古本屋「蟲文庫」店主。岡山コケの会会員、日本蘚苔類学会会員。著書に『苔とあるく』『亀のひみつ』(WAVE出版)、『わたしの小さな古本屋』(洋泉社)。
■収録作品(全20作品)
永瀬清子「苔について」…[詩]
小川洋子「原稿零枚日記」抄…[小説]
太宰治「魚服記」…[小説]
井伏鱒二「幽閉」…[小説]
松尾芭蕉2句…[俳句]
小林一茶3句…[俳句]
伊藤香織「苔やはらかに。」…[小説]
谷川俊太郎「交合」…[詩]
多和田葉子「胞子」…[小説]
野木桃花1句…[俳句]
川上弘美「アレルギー」…[小説]
尾崎一雄「苔」…[小説]
河井酔茗「海草の誇」…[詩]
栗本薫「黴」…[小説]
宮沢賢治「春 変奏曲」…[詩]
佐伯一麦「カビ」…[小説]
前川佐美雄 3首 …[短歌]
内田百閒「大手饅頭」…[小説]
尾崎翠「第七官界彷徨」…[小説]
金子光晴「苔」…[詩]
解説 田中美穂
■書評
「週刊文春」2013年10月17日号
「福井新聞」2013年10月27日
「読売新聞」2013年11月10日朝刊
「神奈川新聞」2013年11月10日
「十勝毎日新聞」2013年11月9日
「河北新報」2013年11月8日夕刊
「サンデー毎日」12月1日号
「BRUTUS」2014年1月1日・15日号
「Leaf」2014年2月号
「図書新聞」2014年1月25日号
「望星」2013年12月号
「東京新聞」「中日新聞」2014年2月2日
「毎日新聞」2014年2月2日
- 四六判/ソフトカバー/本文364頁
- 2,600円(本体価格・税別)
- 2013年9月刊
- ISBN978-4-89629-266-4 C0093
- ※苔バージョン(限定300部)は完売
- ※品切れ