転位論

中田敬二 著・写真
ジェームス・ケティング 英訳
アダ・ドナーティ イタリア語詩
牧野伊三夫 絵画

1924年サハリン生まれの詩人が生涯の旅の人生から紡いだ思想から、生きること、死ぬことを照射して新たな境地を拓いた詩集。詩の歩みが日々生きることを明らかにした連作の四行詩「るばいやーと・片言(かたこと)集」はますます冴え、心に打つ。ジェームス・ケティングの英訳が自在なことばの世界を豊かに表わし、詩人の写真、画家牧野伊三夫の絵が詩集の奥行きを深める。詩人の盟友、イタリアの詩人アダ・ドナーティの詩も味わい深い。

 

■著者

中田敬二(なかだ・けいじ)

1924年サハリン生まれ。1944年東京大学に入学、在学中徴兵され、サハリンで敗戦。ソ連の捕虜収容所から脱走し、復員。のち復学、哲学科を卒業する。40歳頃から詩を本格的に書き始め、68年第一詩集『埠頭』を上梓。その後イタリアを往き来し、須賀敦子、詩人アダ・ドナーティらと親交する。高校教師、農業、自営業などさまざまな職を経ても、詩作活動は精力的に継続し、生来の旅人の視座から数多くの詩集を世に問う。

詩集

『埠頭』1968年

『デマゴーグ宣言・その他』1971年

『島々の幻影』1973年

『歳時記抄』1974年

『マルコの旅』1976年

『海は片眼をつぶり』1980年

『フィナール詩展』1981年

『アマテラス慕情 あるいは貝殻を吹く男』1983年

『一日 サイギョウとアマゾンに遊ぶ』1985年

『旅のおわり・旅』1987年

『神々のバス・ターミナル』1989年

『私本・新古今和歌集』1991年

『薄明のヨブ記』1993年

『トーキョー駅はどっちですか?』1995年

『夜明け一時間半前のスター・ウオーズ』2002年

『地上を旅する人々』2003年

『Versi per un Multiverso』2005年4月

『饒舌な夜明け 抄』2005年5月

『グラウンド・ゼロを行く』2005年8月

『夢幻のとき』2006年

『砂漠の論理』2008年

『Desert Logic, La Logica del Deserto』2008年

『島影』2010年

 

■目次

るばいやーと・片言(かたこと)集 (連作No.372~438)

Rubaiyat: Broken Verses

 

雲のつぶやき

流れる/蹲る/澱む/争う/創(つく)る/展望について/死者へのたより

 

短詩篇

旅と夢のどうどうめぐり Around in Circles of Journeys and Dreams/スイセームシのヨバイ/GHOST RANCH/欲情 と 非情/無明 と 無名 Ignorance and Obscurity/帰りゃんせ/フラミニア街道を行く/わが身をさても/転位論I Displacement Theory I/転位論II Displacement Theory II/転位論III Displacement Theory III/永劫回帰 Eternal Return/右往左往惨憺夜景 Scenes from a Wretched Nighttime Wild Goose Chase/シは シと “Shi” & “Shi”

 

アダ・ドナーティの詩

鷲たち/AQUILE/ホコリ/POLVERE/時間/いまもあんたといっしょ(I)/いまもあんたといっしょ(II)/いまもあんたといっしょ(III)/いまもあんたといっしょ(IV)

 

あとがき

 

 

  • A5判/ソフトカバー/本文144頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2012年1月刊
  • ISBN978-4-89629-243-5 C0092