身を置くところで光となれ 東京深川おんなの土性っ骨(どしょっぽね)

細川照子 著

お国のためにと血気盛んだった女学校時代、昭和20年3月10日東京大空襲の体験、そして戦後は「昭和の労働運動家」といわれる合化労連委員長の太田薫の秘書を務め労働運動の現場に立ち会う。自らのがんを乗り越え、さらに下町の人々に民踊を教え細川流をはじめた母を継いで、踊りの世界を深めていくとともに、日本の踊りをひろく海外に伝える……東京深川おんな一代記。

波乱の時代を生き抜いた人生の先達からの貴重な教え、日本の未来を背負う次世代へのあたたかい励ましの言葉にあふれた本です。

 

■著者

細川照子(ほそかわ・てるこ/細川民族舞踊研究会二代目 細川千光)

大正12(1923)年、東京深川生まれ。実家は鉄工所を営み、7人兄弟のなかの唯一の娘。昭和16年中村高等女学校卒。戦後、労働運動や女性の地位向上のための運動にかかわり、また若くしてがんを発病するが克服するなど、波瀾万丈の人生を送る。

幼い頃より芸事に興味を持ち、全国各地を訪れ学んだ伝統の民踊、そして日本舞踊や新舞踊の研究と稽古に励む。戦後間もなく民踊の細川流を創始した母を継ぎ、二代目・細川千光となり、88歳の現在も弟子たちの指導にあたる。世界各国での公演も多数、日本の舞の素晴らしさ、民踊の心を広く後世に伝えるべく力を尽くしている。

 

■目次

第1話  深川よいとこ、情けもあつい

第2話  幼き日は美しき日々

第3話  おてんば娘、習いごとに励む

第4話  花咲く乙女の女学校時代

第5話  青春を燃やした藻潮会

第6話  忍び寄る戦火

第7話  そして、あの夜、東京大空襲

第8話  それでも人は生きていく

第9話  正義感と好奇心

第10話 血のメーデーから労働運動へ

第11話 がんが教えてくれたこと

第12話 焼け跡で生まれた細川民踊

第13話 踊りにのめりこむ

第14話 民踊は祖先の祈り

第15話 踊り踊らば世界の庭で

第16話 おふくろ様、旅立つ

第17話 働く女性のひとりとして

第18話 ひとすじの道

最終話  鮎は瀬につく 鳥は木にとまる 人はなさけの下に住む

あとがき

細川照子略年譜

 

■書評

タウン誌「深川」No.204(2012年1-2月号)

 

 

  • A5判型/ハードカバー/本文240頁/口絵18頁
  • 1,800円(本体価格・税別)
  • 2011年11月刊
  • ISBN978-4-89629-241-1 C0023