著者がこれまでに発表した詩13篇と、エッセイ3篇を集めた作品集。長年詩と向き合い続けた詩人が、詩を書きつづけることの意味を問う。
完全に喪失したかに見える記憶も、ふとしたきっかけで浮上してくる。だが、思い出のロマンチシズムに浸るために私は書いてきたのではない。むしろ、この頃あの時の気力をもう一度取り戻し、自己として完璧な詩的作品を一篇仕上げたい、そう望んでいる。
(「長い船旅」より)
■著者
高橋馨(たかはし・かおる)
詩人。千葉県在住。
■目次
詩
眠れぬ男/彼方から霧が/しじみ峠/赤い洋傘/やまわらは/木の股/恩納寺/矢切のわたし/鼠捕り器/無期休暇/ワンルーム/某日某夜、映画を観る/長い船旅
エッセイ
書かれない詩 『地下室の手記』再読/テスト氏との再会 ホムンクルス、バンパイア、そして自意識の鼠/エロスの出生について
あとがき
- A5判/並製本/金属活字活版印刷/本文96頁
- 2,000円(本体価格・税別)
- 2011年9月刊
- ISBN978-4-89629-236-7 C0092