小説『荒地の恋』(ねじめ正一著)のモデルとなった、詩人北村太郎の知られざる日々の佇まい。
詩人北村太郎は港の人が敬愛する詩人のひとりで、エッセイ集『樹上の猫』『光が射してくる』を刊行している。その北村太郎と鎌倉の同じ家に暮らしたこともある不思議な縁で、著者は親しく交わる。日々の飾らない優しい詩人の姿や暮らしぶりを淡く、ぬくもりのある筆致で描いた好エッセイ集。画家山本直彰によるエッセイ「北村太郎の白」を収録。
■ 「あとがき」より
北村太郎さんとは鎌倉・稲村ケ崎の家に住むことになったためにできた縁であったが、1980年の2月に初めて会ってから1992年の最期までの12年間のおつきあいだった。
このちいさな本はだれかに聞いたりしたことではなく、直接わたしの眼と心とでみた、普段の北村さんの姿を描いたつもりだ。
わたしにとっては詩人であるというよりもいつも優しい隣人であり良き人生の先輩だった。いつもあたたかくたくさんのことを教えてくれた師だったのだ。……
■著者
橋口幸子(はしぐち・ゆきこ)
鹿児島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し校正を担当した。その後独立してフリーの校正者として長年活躍する。
■目次
詩「天気図」 北村太郎
秋になろうと……
鎌倉
横浜
二度目の鎌倉
北村太郎の白 山本直彰
■書評
「毎日新聞」2011年5月15日朝刊
2011年6月23日号/週刊文春
2011年7月31日/信濃毎日新聞
2011年8月6日号/図書新聞
2011年10月10日号/クロワッサン
- 四六判/ソフトカバー/本文120頁
- 1,200円(本体価格・税別)
- 2011年4月刊
- ISBN978-4-89629-231-2 C0095