青の叙情と青春の喪失と孤独を透明に描き出す傑作詩集。
己のなにが漲(みなぎ)り溢れさせるのか──。ゆめのなかのゆめで魂(ひと)はふるえ問いかけつづける。
詩人はその共振れの中に永遠に「居る」。
この詩集には、花が虫であった私たちの未生の時(あお)が、さざなみのようにみちている。
河津聖恵(詩人)
■著者
宇佐美孝二(うさみ・こうじ)
1954年愛知県生まれ。名古屋在住の詩人。
詩集
『空の擬音が、ふ』(不動工房)1986年
『ぼくの太りかたなど』(七月堂)1990年
『浮かぶ箱』(人間社)1997年
『虫類戯画』(思潮社)2005年
アンソロジー詩集
『一編の詩があなたを強く抱きしめる時がある』水内喜久雄編(PHP研究所)2007年
アンソロジー評論集
『小野十三郎を読む』山田兼士・細見和之編(思潮社)2008年
個人詩誌「アンドレ」編集(不定期刊)
■目次
瞑想として/十七歳論/遅刻、それからずっと/空が鳴る/硬直睡眠/変な空と魚になりたがっている水/ことばの練習帳/雨が夜の背中を濡らして/桃の土地/空に枝/やさしいひとたち/あの家/はるか波へ/虫の羽音。それらを聴いている周りの……/否定の部屋/この世のどこかでカチリと音がすると/集会/暗室/ぼくの川/ある問い/耳の痛むとき/ひかる雨が降りそそぐ庭にいて
- A5判変型/ソフトカバー/本文112頁
- 2,200円(本体価格・税別)
- 2010年9月刊
- ISBN978-4-89629-225-1 C0092