再履修 とっても恥ずかしゼミナール

万田邦敏 著

映画監督が贈る、ユーモアあふれる映画の入門書。2008年公開の映画『接吻』(小池栄子主演)で話題をさらった、鬼才・万田邦敏(映画監督)の初映画批評集。盟友・黒沢清(映画監督)と共に蓮實重彦(映画批評家)のもとで映画を学んだ著者による、とってもとっても恥ずかし?い映画の授業(ゼミナール)が、ついに開講する。

 

■著者

万田邦敏(まんだ・くにとし)

1956年生まれ。映画監督。映画美学校講師、立教大学現代心理学部映像身体学科教授。立教大学在学中、黒沢清らと共に自主映画製作を行う。その後PRビデオ、TVドラマの演出を経て、96年『宇宙貨物船レムナント6』で劇場デビュー。続く『UNLOVED』が2001年カンヌ国際映画祭エキュメニック新人監督賞、レールドール賞をW受賞。03年、『ダムドファイル エピソード・ゼロ』がカンヌ国際映画祭監督週間に正式招待される。その後『ありがとう』(06年)『接吻』(06年)などを発表し、おおいに話題となる。共著に『映画の授業 映画美学校の教室から』(青土社)など。

 

■主な内容

1980年代に「月刊イメージフォーラム誌」で連載した傑作エッセイ「とっても恥ずかしゼミナール」を中心に、映画の魅力や映画作りの裏側をユーモアたっぷりに紹介した批評・エッセイを、授業形式で読む。

ゴダール、イーストウッド、小津安二郎など、1979年から2009年までに発表された、様々な映画監督・作品についての批評、講義録等を多数収録。

黒沢清の長編デビュー作『女子大生・恥ずかしゼミナール』(『ドレミファ娘の血は騒ぐ』)の撮影日誌を単行本初収録。

映画監督/黒沢清・青山真治・塩田明彦、脚本家/高橋洋、小説家・ミュージシャン/中原昌也との対談・鼎談記事を収録。

 

■目次

本ゼミを履修するみなさまへ

前期課程 宣戦布告

とっても恥ずかしゼミナール1 私はこうして恥ずかしさを克服した

とっても恥ずかしゼミナール2 明大騒動舎は学生自主映画界のシーラカンスか?

 

課外授業1 同世代作家たち

パロディアス・ユニティ 匿名的時空へ向けて/蓮實重彦現象 ハスミ光線のかなたに/「小津らしさ」のグロテスク 周防正行「サラリーマン教室・係長は楽しいな」

 

とっても恥ずかしゼミナール3 『バイオレント・サタデー』こそ八四年のベストワンだ

とっても恥ずかしゼミナール4 そんな出鱈目の遙か彼方に『カポネ大いに泣く』がある

 

課外授業2 イーストウッド、ブレッソン、スピルバーグ

『シティヒート』『ビバリーヒルズ・コップ』における二大スター+レイノルズ考/一九八五年ベスト・ワン映像 クリント・イーストウッド『ペイルライダー』/ブレッソン研究 『ラルジャン』にないもの/シネマ・クエスト スピルバーグと○○○

 

とっても恥ずかしゼミナール5 上映会で最前列に並ぶ連中の職業的な馴合精神を排す

とっても恥ずかしゼミナール6 映画のTV放映における過剰な親切ぶりは腹立たしい

 

課外授業3 テレビ批評

正しいテレビとのつき合い方/デビット・ビンセントくんの熱意に潜むとは何か/テレビの「ゆく年・くる年」現象に逆らう/テレビは続くよどこまでも

 

とっても恥ずかしゼミナール7 『ドレミファ娘』は多くの人々に捧げられる映画である

 

課外授業4 黒沢清

『女子大生・恥ずかしゼミナール』という名の映画(前篇)/『女子大生・恥ずかしゼミナール』という名の映画(後篇)/黒沢清・彼自身によらぬ

 

とっても恥ずかしゼミナール8 ニヤリとさせてくれる映画の面白さをめぐる一考察

とっても恥ずかしゼミナール9 構図と意味の一致を拒むキャメラのモラルについて

 

課外授業5 映画監督という職業

ウォーカーはどこを歩くのか アレックス・コックスの『ウォーカー』/コスタ=ガヴラスが忘れられる前に!

 

とっても恥ずかしゼミナール10 『ドレミファ娘』はヒール・キック・ムービーと呼ぼう

とっても恥ずかしゼミナール11 映画誌「突刊 映画王」にとりあえず期待してみよう

 

課外授業6 雑誌「映画王」

『悪魔の性キャサリン』/『事件』の完全映画化は裁判ドラマに終止符を打つ/アメリカ映画主義 遙かなるこだま、あるいはジョナサン・デミは一人か二人か/『ミクロキッズ』

とっても恥ずかしゼミナール12 物語を自然に語る映画を撮ることの困難さについて

とっても恥ずかしゼミナール13 物語を自然に語る映画を撮ることの困難さについて(続)

 

課外授業7 映画の演出

マキノの『馬鹿野郎』/ヒッチコックから遠く離れて 『フランティック』におけるポランスキーの綱渡り

 

後期課程 遭遇と発見

1990-1995

『新ドイツ零年』/『パーフェクト・ワールド』/『君はどこにいるの?』/『シンドラーのリスト』/『水の話 プチ・シネマ・バザール』/『フィラデルフィア』/『リトル・ブッダ』/『ゴダールの決別』/『平成狸合戦ぽんぽこ』/特集上映「加藤泰/女と男、情感の美学」/『アブラハム渓谷』/第四回「国際学生映画祭」

1996-2001

映画論、映画評、そして映画製作 ここに映画あり 【座談会】万田邦敏×黒沢清×青山真治/ジョン・カーペンター『ヴァンパイア/最期の聖戦』/大島渚『白昼の通り魔』『絞死刑』『帰って来たヨッパライ』/黒沢清との出会い/『アメリカの友人』 単純と混濁に引き裂かれた奇形の犯罪活劇/木下惠介『二十四の瞳』/『バッファロー’66』

2002

覚悟のゴダール/『UNLOVED』と『害虫』をめぐる会話 万田邦敏×万田珠実×塩田明彦/高橋洋との往復メール 高橋洋×万田邦敏・万田珠実/切断と継続 『恋人のいる時間』万田邦敏+万田珠実

2003-2004

同時代ベテラン作家たち、あるいは非「ニューシネマ」の強度/『ゲアトルーズ』 「聖なる映画作家」による通俗な愛の物語

2005-2007

オコっちゃま☆オコマリっちゃま/男/女には理解できない 「何か」への強迫観念/ロバート・アルトマン追悼

2008-2009

『秋刀魚の味』講演録/『UNLOVED』をめぐって 【対談】万田邦敏×中原昌也/トウキョウソナタ “許容”が家族を再生させる/私の映画史 恋愛映画(外国映画篇)

 

あとがき

万田邦敏監督作品

 

映画題名索引

 

■書評

「映画秘宝」2010年1月号


「キネマ旬報」2010年1月上旬号

 

 

  • 四六判並製/392頁
  • 定価2,700円(本体価格・税別)
  • 2009年10月刊
  • ISBN 978-4-89629-212-1 C0074