三語便覧 初版本影印・索引・解説

櫻井豪人 著

日本語の歴史を知るための重要文献。影印は初版本、日本語索引・西洋語索引、解説と充実した内容。

『三語便覧』(嘉永7〈1854〉年序刊)は、幕末明治期の洋学者村上英俊(1811~90)によって編纂された日本語・フランス語・英語・オランダ語対訳の意義分類体単語集。

日本初の本格的英和辞典『英和対訳袖珍辞書』は8年後の文久2(1862)年刊であり、日本初の仏和辞典『仏語明要』(村上英俊編)は10年後の元治元(1864)年刊である。これは、『三語便覧』が蘭学から英学・仏学への転換期のごく初期に登場したことを意味しており、近代語誕生の過程を知るための重要文献である。

 

■著者

櫻井豪人(さくらい・たけひと)

1972年 愛知県名古屋市生まれ

1995年 名古屋大学文学部卒業(文学科国語学専攻)

2000年 名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期修了 博士(文学)

2001年 茨城大学人文学部専任講師

2003年 茨城大学人文学部助教授

2007年 茨城大学人文学部准教授(職名変更、現在に至る)

専攻 日本語学 近代翻訳語研究 洋学資料研究

主要編著書

『類聚紅毛語訳・改正増補蛮語箋・英語箋』・解説・対照表・索引編 ・影印編、港の人、2005年5月。

主要論文

「『改正増補蛮語箋』「火器」部について ─『海上砲術全書』との関係─」『国語語彙史の研究』24、和泉書院、2005年3月。「翻訳語としての「文庫」と「写字台」─絵入り単語集を利用した翻訳語研究の一例として─」『茨城大学人文学部紀要人文コミュニケーション学科論集』第3号、2007年10月ほか。

 

■目次

はじめに

凡例

解説

1. 『三語便覧』とは

2. 『三語便覧』の刊年と書誌

2.1. 『三語便覧』の刊年

2.2. 『三語便覧』の書誌

2.2.1. 『三語便覧』の書誌的異同の要点

2.2.2. 影印原本の書誌

2.2.3. 入木改刻による本文改訂について

3. 編者・村上英俊について

4. 『三語便覧』刊行時の時代背景

5. 序文と凡例

5.1. 塩谷宕陰の序文

5.2. 小林畏堂の序文

5.3. 二種の凡例について

6. 『三語便覧』の本文

6.1. 二つの原本と部立て

6.1.1. 二つの原本

6.1.2. Med.およびCaz.からの見出し語配列の割合

6.1.3. 『三語便覧』の部立て

6.2. 西洋語の綴りと英俊が使用した蘭書

6.2.1. Caz.の版次と『三語便覧』

6.2.2. 『三語便覧』とCaz.とで記述の異なる箇所について

6.2.3. 〈医薬〉とHalma仏蘭辞典

6.2.4. 英語の綴りとSewel蘭英辞典

6.2.5. 英語の欄にフランス語が入っている箇所について

6.3. 日本語部分について

参考文献

『三語便覧』地名一覧

『三語便覧』日本語索引

『三語便覧』西洋語索引

『三語便覧』初版本影印

あとがき

 

 

  • A5判/上製本/函入/本文664頁
  • 18,000円(本体価格・税別)
  • 2009年6月刊
  • ISBN978-4-89629-206-0 C3081