日本でも広く愛されているアイルランドの詩人、イエーツの作品を翻訳の難解さから解き放ち、心で味わう日本語詩として再現する。詩人であり翻訳者としての長年の実績を持つ著者がたどり着いた到達点を示す珠玉の翻訳詩集。
「加島祥造セレクション」は、翻訳家としての経験と詩人としての感性によってきわめられた翻訳詩の世界を集める。
■著者
W・B・イエーツ
アイルランドの詩人・劇作家。1865-1939。ロマン主義的な詩風で知られる。主著に詩集『クールの野生白鳥』『螺旋階段ほかの詩』『最後の詩集』、劇作『鷹の井戸』ほか多数。アイルランド文芸の復興に尽くした。1923年ノーベル文学賞受賞。
■著者
W・H・オーデン
イギリスで活躍し、のちアメリカに帰化した詩人。1907-73。1930年代、左翼的発言と実験的詩法でイギリス詩壇の中心的存在として活躍。日本の戦後詩に大きな影響を与えた。主な詩集に『演説者たち』『見よ、旅人よ』『新年の手紙』ほか多数。
■著者
加島祥造(かじま・しょうぞう)
1923年生まれ。アメリカ文学者としてフォークナー、トウェインをはじめ、数多くの翻訳・著作を手がける。また若い頃より詩グループ「荒地」に参加、詩人としても活躍。『タオ―老子』(筑摩書房)『伊那谷の老子』(朝日文庫)など老子関連ほか、詩集、画集、随想集など数多くの著作を持つ。
■内容
加島訳によるイエーツの12篇の詩
疲れた心よ(心よ、ここに来ないか)/十九世紀の過ぎてゆくとき(あの大いなる歌は)/イニスフリーの島へ(ああ、明日は行こう)/ふたつの白鳥(ぼくら、君とぼくは)/鴫鳥にむかって(この空ではもう)/クール湖の白鳥(樹々はそれぞれに)/新しい恋人は嘆いた(清くて白い額)/最後のロマン主義者(その底に川瀬)/ラピス・ラズリに(このごろの婦人たちは)/学者ども(自分の愚劣さを)/あなたが年をとって(髪は白くなり)/老いた時への祈り(ああ、お願いする)
オーデンのイエーツに捧げる追悼詩
一九三九年に死去せるW・B・イエーツを偲んで(彼の死んだのは冬の) W・H・オーデン
加島祥造のエッセイ
W・B・イエーツについての実感的覚え書き/イエーツとパウンド/ラピス・ラズリの話
- A5判/上製本/カバー装/本文120頁
- 1,800円(本体価格・税別)
- 2007年7月刊
- ISBN978-4-89629-180-3 C0398
- ※品切れ