日本児童文学学会四十年史 港の人児童文化研究叢書002

上 笙一郎 著

〈児童文学分野〉における唯一の〈研究学会〉の40年の歩みを、一貫して中枢部にいた著者が、過不足なく通観した「第一部」。「第二部」は、その著者個人の学会回想記。学会の事業・主要会員との交友・東西学風の相違などを、深い愛情と辛辣な批判とをもって綴り、迫力を持つ。前世代の研究到達点を〈我が物〉としたところから、次世代の研究は始まる。児童文学研究に志す人の、必読の書!

 

■著者

上笙一郎(かみ・しょういちろう)

1933年、埼玉県飯能市の山村に生まれ、高校を一年で退学、各種学校の文化学院を卒業。売文生活のなかで児童文化研究を志し、広範な研究をおこなってきた。日本児童文学者協会、日本児童文学学会、日本子ども社会学会、日本人形玩具学会などの理事を歴任。

〈児童文学研究〉の著書に『未明童話の本質』(勁草書房)『日本児童文学研究史』(港の人)、〈児童文化研究〉に『日本のわらべ唄』(三省堂)『児童出版美術の散歩道』(理論社)、〈児童史研究〉に『日本児童史の開拓』(小峰書店)『日本子育て物語(育児の社会史)』(筑摩書房)などがある。編著も多く、文献復刻の仕事も多数。

 

■目次

まえがき

 

第一部  日本児童文学学会の四十年

第1章

日本児童文学学会創立の以前

第2章

創立と初期の活動(1962~67年)

第3章

アンバランスの季節(1968~80年)

第4章

漸進から前進へ(1981~94年)

第5章

日本児童文学学会の現在(1995~2002年)

 

第二部 日本児童文学学会の回想

第1章

記憶に深い人たち/石森延男氏の手紙/滑川道夫さん=苦労慎重の人/福田清人さん/藤田圭雄さん=弟子を作らぬ人/山室静先生/白木茂さん/学会初期の老台たち/冨田博之さん=兄事した人/鳥越信=〈常に正しい〉人/岸田泰政さん=レニングラード大学教授/

アン=へリングさん/アジアの国の人たち/諸角和儔=「児童文学評論」の人

第2章 研究会・紀要・出版物など

初めての京都=研究大会/研究大会ピークの頃/〈二十八歳〉と〈四十代半ば〉と/面白かったこと=研究大会余話/感心したこと・驚いたこと/「会報」十二年間の中絶/『児童文学事典』編纂の顛末/『研究=日本の児童文学』叢書の次第/英文パンフレット「日本の児童文学研究」

第3章 学風・資料・その他のこと

児童文学研究の東と西/〈児童文学館〉の前史/〈資料交換会〉の初めと終わり/〈古書展〉で出会った人/〈人〉と資料の貸借と/小著『日本児童文学研究史』の学会評価/梅花女子大学=児童文学科の五年間

 

 

  • A5判/上製本/函入/本文400頁
  • 7,000円(本体価格・税別)
  • 2007年10月刊
  • ISBN978-4-89629-179-7 C3395