◎明治初年から、大正、昭和戦前までの日本の社会福祉関係法令原典を編年順に収録(1~8巻)
◎東京・神奈川・大阪・京都の社会福祉関係法令原典を収録(1~8巻)
◎収録法令約1,750件(上記4府県を含む)
◎第3回「帝国議会議事録編」3巻(9~11巻)には、重要な社会福祉関係法案の国会審議過程を記録した議事録(委員会含む)を収録。「恤救法案」「救貧税法案」(廃案)「窮民(救済)法案」(板垣退助立案/議会未提出)を初公開。「行旅病人及行旅死亡人取扱法」「母子保護法」「少年救護法」等40件。
◎別巻には、法令改廃一覧、議事日程、国会発言者索引などを掲載し、利用者の便を図る。
■「刊行にあたって」より
現在、社会福祉法制の研究の重要性は、社会福祉研究者・社会福祉従事者の間で強く認識されている。これは社会福祉法が公的社会福祉活動を規制するに止まらず、民間の社会福祉活動の基準となっているからである。それ故、措置から契約へという動向のある現在においても、社会福祉法を座視することはできないのである。 社会福祉法については、その歴史が浅く体系が未成熟であり、いまなお試行錯誤の段階にある。それは、社会福祉法はその時代のニードに促がされて形成されるという性格を持ち、変容を繰り返すことで時代の要請に対応してきたからである。しかし歴史は動いていくものであるからこの状態を脱却することは容易ではないが、社会福祉法を学問体系として整備していくことが現在の課題であろう。そのために、社会福祉法の史的研究が重要となる。史的研究は、現行の各社会福祉法がどのような経緯を経て現行法にいたったかという改廃の沿革を客観的に追及するものである。これにより、各福祉法を制定した立法の意図が明らかとなり、このことが現行法解釈の一つの手掛りとなり得る。またこのことは、今後の社会福祉に関する制度の体系を整備する基盤となるであろう。その意味で社会福祉法の史的研究は、社会福祉研究にとって不可欠のものであると考える。 今回刊行する『近代福祉法制大全』は、1988年に出版した『日本社会福祉法制史年表』(永田文昌堂)にもとづき、そこに収録した明治・大正・昭和戦前の社会福祉に関する法令・通達などを原典として編年次別に編纂したものである。これとあわせて、戦前の社会福祉法の中でも戦後の法令の制定に影響を及ぼしたと考えられる法令に関しては、その制定のプロセスを帝国議会の議事録から抜粋して本大全に収録した。これにより当該法令が制定された当時の立法者の福祉観が本書の読者に理解されると考える。 本大全が、現行の社会福祉制度を理解するための基盤となるだけではなく、さらに21世紀にむけての社会福祉制度構築に資するものとなれば幸いである。
桑原洋子
■推薦のことば
「明日の創造研究に資する刊行」
『日本社会福祉法制史年表』(永田文昌堂、一九八八)の労作を物された桑原洋子教授の、宮城洋一郎教授らとの協同編集により、戦前の明治・大正・昭和時代の前日本福祉法制度形成についての、帝国議会議事録ならびに政府通達にもとづく、編年別の近代福祉法原典資料集成の刊行は、戦後新憲法体制下の現代日本福祉法制の展開過程との連続、非連続を知り、日本的な福祉創造の法政策の現状、また明日の創造研究に資することが大きいと考えられる。地味な資料蒐集にもとづいた客観的な前福祉関係法大全の刊行の意に編者ならびに出版社に対し敬意を表し、推薦の言葉を贈るものである。
佐藤進(立正大学・日本女子大学名誉教授、新潟青陵女子短期大学特任教授)
「転換期の今日に意義ある文献」
今、日本の社会福祉は、大きな転換期にある。その時期に日本の社会福祉法制が、近代化の中でどのような在り方であったか、また変遷をたどってきたかを深く探究するために、さらにこれからの在り方を検討するためにも、今回の『近代福祉法制大全』の刊行は、極めて意味がある。また貴重な数多くの資料が掲載してあり、系統だてて見る上でわかりやすく、歴史研究としても非常に意義がある。是非積極的に活用されるよう、多くの方の目にふれてほしいと願う次第である。
一番ケ瀬康子(長崎純心大学教授)
- A5判(B5判)/上製本/糸かがり/総5,700頁
- 第1回配本4巻(1~4巻) 80,000円(本体価格・税別)
- 第2回配本4巻(5~8巻) 80,000円(本体価格・税別)
- 第3回配本3巻(9~11巻)別巻1 90,000円(本体価格・税別)
- 揃定価 250,000円(本体価格・税別)
- 1999年6月(第1回配本)、2000年2月(第2回配本)、2001年10月(第2回配本)刊行
- 第1回配本 ISBN4-89629-025-9 C3330
- 第2回配本 ISBN4-89629-048-8 C3330
- 第3回配本 ISBN4-89629-097-6 C3330