20年以上にわたって書かれた詩篇34篇を集めた、四方田犬彦「ドーナツ盤コレクション」!
ローリング・ストーンズの偉大なドラマー、チャーリー・ワッツの音楽に感動し、その名を書名につける。
著者自装
■本書より
俺はチャーリー・ワッツが叩くように散文に向かい、
ミック・ジャガーがギターを弾くように詩を書く。
ビル・ワイマンのようにいつも群れをなさず、
ブライアン・ジョーンズがモロッコに耽溺したように、
異教の旋律に心惹かれ どこまでも進む。
キース・リチャーズがギターを投げ捨て、
ビルのベースを奪って弾くように
どんな言葉も好き勝手に翻訳してみせる。
メッセージなんて糞喰らえ。
俺はただ 人に尊敬されないために書いている。
──表題作より
グランドピアノの弦に螺子釘や消しゴム、貨幣などを挟み込んで演奏してみると、調律を正した本来のピアノではありえなかった、不思議な、調子外れの音が飛び出してくる。プリペアド・ピアノである。わたしがこの詩集で意図したのは、古典的な詩歌のテクストをこのピアノの譜面台に載せて演奏してみることに尽きている。
──「あとがき」より
■著者
四方田犬彦(よもた・いぬひこ)
1953年、大阪箕面生。詩集に『眼の破裂』(百頭社、1993)、『人生の乞食』(書肆山田、2007)、『100 POSTCADS 』(大和プレス、2009)、『わが煉獄』(港の人、2014)、『離火』(港の人、2021)がある。翻訳詩集にピエル・パオロ・パゾリーニ『パゾリーニ詩集 増補新版』(みすず書房、2024)、マフムード・ダルウィーシュ『パレスチナ詩集』(ちくま文庫、2024)、チラナン・ピットプリーチャ『消えてしまった葉』(共訳、港の人、2018)がある。詩論集『詩の約束』(作品社、2018)で鮎川信夫賞を受けた。
■目次
チャーリー・ワッツ/ピラネージ/金棺/季節と城/驢馬/人間の顔の美しさ/オレステス/ブレヒトに倣いて
路上/花束/夜の狼藉/展翅/早朝の出発/結び目/エジプト/サハラ砂漠南端の町にて/無明
人の真心/水搔き/白樺/タマネギ/アンヌ・ヴィアゼムスキーの思い出/2021年に書いた詩/조선학교는 무료다/赤い海豹/チャナ/マメ
最低って何のこと?/本当のことをいおうか/金枝/わが点鬼簿/土本典昭を追悼する/ジャン=リュック・ゴダールに捧げる頌/方舟
あとがき
- 四六判変型/並製本/152頁
- 2400円(本体価格・税別)
- 2025年10月刊
- ISBN978-4-89629-465-1

