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『あけやらぬ みずのゆめ』
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■本文「川の視線」より
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水の気配に呼びとめられ歩く 朝
水音はひと雨ごとに懐かしい詩人の声になる
響いてくる風音は 秋枯れたの少し向こう
網の目になった虫たちの塒からの伝言

朝焼けにたゆたう光 日々濃くなる樹々の影
自転車を降り 走り来る子らの影と濃く重なりあう
それら影たちがしなやかな護謨となって伸び やがて溶けゆくまで
水の歌声は水鳥の影と重なりその輪を広げながら羽ばたいている

川の視線は遠く 近く 虹彩を微細に調節しながら
木々に 人びとに 草叢に 水鳥に 虫たちに投げかけられている
気がつけば洪水となってこの地域一帯を震え上がらせるほどの――

近づき 流水にそっと手を浸せば掌は水の影でみたされる
その水の その川の その視線の 何年も昔から――
この星の愛の深さによって生みだされた慄き それら視線

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■目次
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あけやらぬ みずのゆめ 1
ふりわけられし水
海への道
川の視線
はなびら
氷の世界
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雨の底から 樹の底から
ヘアダイ
雨の底から 樹の底から
背高キリン草
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夏に出会う
とめどなく死者がやってくる朝
雪と花と空と詩
溟い波、ヴォカリーズ
ビスナール
わたしはかつてレモンの葉脈を
夏に出会う
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あけやらぬ みずのゆめ 2
蒼いうた
すけるてゆびの舞踏会
水平線
鹽の種
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入り江から
白い月
酸素
脱皮する樹木
船霊さん
入り江から
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あとがき
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