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『四月と十月文庫8 仕事場訪問』
本書の詳細

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■本文「葛西薫のデザインと芸術」より
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「葛西さんはいつも日記帳のような小さなノートを持ち歩いていますね」
 僕は以前、このノートをのぞかせていただいたことがある。そこには、旅先でのスケッチやらデザインのアイデアスケッチなどが描いてあった。あのユナイテッドアローズのロゴ・マークのデッサンや、恩地孝四郎の抽象芸術に関する一文などもあって興味深かった。
「絵でも言葉でも思いついたら書きとめているんだけど、もう何冊目になるかなあ。十年ほど前からはじめたんだけれども。旅先でスケッチがしたいのではなくて、旅先で旅日記を描くような人になりたいと思って。何年も前にただ漠然と描いた形が後にずいぶん役に立ったこともあって、けっこう自分のメモに助けられることがある。
 実際にデザインを考えるときは、自己を主張したり、ある偏った思想に固執することなく、いつもニュートラルなものにしたいと心がけている。と言いながら、ヨシ、人生の後半はピンクかな(笑)、なんて思っているとそのとき作るものはピンクになってしまう。矛盾してるんだけど。結局自分に都合のよいことをやってるんだと思う。
 だけど今までこの仕事をやってきて思うことは、広告のデザイナーというのは、自分が作りたいものを作るというより、自分以外のコトを見つめるものじゃないかと思う。例えていえば、どんなものでも、みんな何らかの魅力をもっているはずで、それを百としたら三十か四十くらいにしか見えていないかもしれない。それを出来るだけ百に近づけてあげるようとするのが仕事ではないか。百を百五十には出来ないけれどね。広告で作り手の事情があふれているものはあまり見たいと思わない」……

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■目次
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希八先生の版画工房
木村希八の画廊歩き
葛西薫のデザインと芸術
坑夫の描いた絵
立花文穂の本
月光荘画材店のおじさん
鈴木安一郎と富士山
福田尚代が現在の美術表現をはじめるまで
湯町窯の画家 福間貴士
田口順二の美術生活
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