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『近代日本教育関係法令体系』
本書の詳細

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■本書の特色
1、本書は内閣制度発足直後の1886(明治18)年のから、第2次世界大戦後のいわゆる教育基本法制の成立にいたるまでの、教育関係法令を厳選し、分野別に体系化したものである。近代教育制度の全体像を提示した、初めての画期的な法令体系である。
2、法令は制定から廃止(あるいは失効)までの改廃過程をおえるように編集。いつの時代にどの法令が制定され、いかに改正され、廃止されていったのか、その変遷過程を容易に辿ることができる。
3、教育法に加え、自治制度関係の法令や兵役・教練、感化・矯正教育など教育の諸制度や諸事象を理解するために必要な法令も収録した。また省令、訓令以上の主要な法令と、重要な告示等を収録した。
4、近代の教育法令集には、すでに『明治以降教育制度発達史』『近代日本教育制度史料』の二文献があるが、それぞれ法令の収録年代も違い、またひとつの法令の制定から改廃までを追えるように構成されていない。本書によって初めて、明治から戦後までの教育法令が通覧でき、近代教育制度の全体像を容易にとらえることが可能になった。
5、読者の理解をうながすために説明が要する箇所には、編著者による簡潔な補記が掲載されている。
6、「近代日本教育関係法令目録」(150頁)は本書に収録した法令はもちろん、『明治以降教育制度発達史』『近代日本教育制度史料』の掲載頁をも丁寧に記載してあり、読者の便に供するように努めている。

■刊行にあたって  米田俊彦(お茶の水女子大学教授)
 手がけてから刊行まで十年もの長い歳月が経過してしまった。編集担当の里舘氏からの最初の依頼は、教育法令の年表作成だった。1947年の教育基本法の改正の動きが活発化するなかで、戦前の教育法制度がどのようなものだったのか、総体としてきちんと認識、把握できるものがあってよいのではないかという趣旨がそこに含意されていた。趣旨には賛同しつつも、年表よりも法令集そのものの方が便利に使っていただけるだろうと考えて、無謀な作業を始めた。
 『明治以降教育制度発達史』と『近代日本教育制度史料』を超えるものは作れないので、参照頻度が高いもの、代表的なものだけを収録(または抄録)し、そうでないものは『発達史』『制度史料』あるいは『官報』『法令全書』に譲る、ということにした。それでもこれだけの分量になってしまった。
 収録する法令の選択に迷うことがしばしばであった。主要なものに限るとはいえ、『発達史』『制度史料』に収録されている法令を取捨選択すればよいわけでもなく、現代の教育史研究にとって必要度の高いものは追加収録すべきと考えた。たとえば、府県や市町村の教育行政制度の理解に必要な地方制度に関する法令が『発達史』『制度史料』には十分に収録されていないことに不満を感じていた。そこで、「府県制」「郡制」「市制」「町村制」等の、地方教育行政にかかわる条項とその改廃を入れることにした。軍関係など、いくつかの領域の法令についても追加する形で収録した。
 本来ならば、植民地等の「外地」の教育法令も収録すべきだったのかもしれないが、それだけでかなりの分量があるので、内地と外地の教育制度を接続させる法令までを収録範囲とせざるを得なかった。
 改廃を追えるようにすることと全体像が体系的に見えるようにすることを優先した。法令を検索するための技がなくても、全体像が見えて、特定の法令の改廃が追えるものにすることが、教育法令を教育(史)研究の共通基盤にする前提になると考えている。法令や法令による制度の理解が本書によって少しでも容易になり、教育(史)研究の発展に少しでもかかわることができれば幸いである。

■本書を推薦します
教育法令集の新しい試み  寺崎昌男(東京大学名誉教授・立教学院本部調査役)
 この法令体系は、第一に近代教育上の基本事項を精選している。第二に教育制度にとどまらず、勅語・詔勅から軍事・青少年指導等まで収録範囲を広げている。第三に敗戦直後までの旧法令の変遷を制定から廃止に至るまでフォローしている。特に「廃止」の経過が分かることはありがたい。おかげで法令の実施期間を厖大な既成法令集から探り当てるという難事を避けることができる。
 悔しいことだが、近代日本の教育は政府等の制定する法令によって初めて骨格を_むことができるという一面を持っている。多くの数十巻に及ぶ教育法令集が編纂されてきたのはそのためである。だがこの整理作業によって、見識と精査に基づく有用な一巻本が提供された。特に若い研究者の方たちにとって一つの福音となるだろう。
不可欠な一冊  森川輝紀(教育史学会代表理事・埼玉大学教授)
 その国の教育の基本的な形は、教育法令によって定められる。いうまでもなく、教育法令は近代国家の教育に関する根本的史料となる。すでに、我々は『明治以降教育制度発達史』『近代日本教育制度史料』を手にしている。これ等は時代的制約もあり、必ずしも法令集として使い勝手のよいものではない。特に、各法令の制定から改廃の跡を辿るには不便である。近代日本の中等教育史を中心に教育史学をリードしてきた米田俊彦教授が、透徹した教育史像にもとづき、兵役・教練、感化・矯正教育など新たな領域を加え、体系的に分類し、法令の改廃を辿れる教育関係法令集を編纂された。前記二書所収の法令をも活用しうる「教育関係法令目録」も付されており、この一冊は近代教育関係法令集の決定版といえる。近代の教育に関心を持つ全ての人々にとって不可欠な一冊である。

■目次
第一章 憲法と教育理念
 第一節 大日本帝国憲法
 第二節 教育関係の主要な詔勅
 第三節 基本理念・方針に関する訓令
第二章 教育行政
 第一節 内閣
 第二節 文部省(官制等)
 第三節 文部省(分課規程等)
 第四節 官吏制度
 第五節 委員会
 第六節 府県・郡の教育行政体制
 第七節 市町村の教育行政体制
第三章 小学校
 第一節 小学校令・国民学校令
 第二節 小学校令・国民学校令の関連諸法令
第四章 中等教育・青年教育
 第一節 中学校
 第二節 高等女学校
 第三節 実業学校
 第四節 中等学校
 第五節 青年訓練所
 第六節 青年学校
第五章 高等教育・学術研究
 第一節 大学
 第二節 専門学校・実業専門学校
 第三節 高等学校
 第四節 文部省直轄諸学校官制
 第五節 会計・財政制度
 第六節 研究機関および学術・芸術団体
 第七節 留学
 第八節 戦時中の在学・修業年限の臨時短縮
第六章 教員養成
 第一節 師範学校令・師範教育令・教員養成諸学校官制
 第二節 師範学校関係の省令等および小学校教員検定
 第三節 高等師範学校・女子高等師範学校
 第四節 臨時教員養成所
 第五節 師範学校・中学校・高等女学校教員の検定制度
 第六節 実業学校教員の資格と養成
 第七節 実業補習学校・青年学校教員の養成と資格
 第八節 高等学校等の教員の資格・養成
 第九節 東京音楽学校等における教員養成
第七章 その他の法令
 第一節 障害児学校
 第二節 幼稚園
 第三節 私立学校および文部大臣所管の法人
 第四節 公立学校職員
 第五節 学校事務職員
 第六節 教科用図書等
 第七節 学校衛生
 第八節 訓育、生活指導、懲戒等
 第九節 社会教育
 第十節 兵役・教練
 第十一節 就業年齢等の制限および徒弟制度
 第十二節 感化・矯正教育
 第十三節 戦時動員法令
 第十四節 外地における日本人教育および外地・内地間の学校制度の連絡
 第十五節 その他の法令
近代日本教育関係法令目録

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