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『江戸期女性語辞典 II』
本書の詳細

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■刊行のことば・木村晟
『江戸期女性語辞典』の第二として山本序周の撰述にかかる『女節用集文字嚢』の「影印本文」と、それに基づくコンテクスト方式の「索引」を収録すべく企図した。元禄2年(1689)刊の『婦人養草』や、それを承けてなつた『女重宝記』などの女性教養書は、日本語史・生活科学(家政学)の両面から相応に研究され、その成果も報告されてゐる。特に『女重宝記』は幾度も影印に付せられ、かつ注釈の類まで刊行されて好もしい情況にある。而かるに『女節用集』は日本語学の大型の辞書においても書名『女節用文字嚢』(山本序周編)とあるのみで、登載語の性格・価値等については、殆んど説き及んだ辞典類の存在は管見に入つてゐない。この書の先行研究も若杉哲男氏・土屋信一氏の論考以外に私は知らない。幸ひに若杉氏の研究は『女節用集』を同じ編者山本序周の辞書『男節用集如意宝珠大成』(享保元年〈1716〉刊本を始め、それ以前刊とみられる『刊年不明本』や、元文元年〈1736〉刊本・明和6年〈1769〉刊本も含めて)、それに序周編の往来物『文林節用筆海往来』(初刊は享保6年〈1722〉本)の三種を必要に応じて対比するなどして、多面的な探求が実施せられてゐるので、序周編纂にかかる辞書・往来類研究の指針ともなつてゐる。
しかしながら多くの研究者が多方面の研究を展開させるには、影印による本文の提供が何よりも肝要となる。また日本語史学以外の専攻者には、影印本文の翻字や索引が必須のものとなるであらう。本書には影印本文を翻字して、五十音順に配列し、『女節用集』の「改編翻字本文」とも謂ひつべきコンテクスト方式の索引を付載した。本書の刊行を機に、日本語史・日本語辞書史、女性語研究、女性史研究、生活科学(家政学)等々の研究者による多角的な研究が展開されることを衷心より切望する。
本書の本文を一瞥して判るやうに、『女節用集』(初刊は宝永6年〈1709〉本)は「近世開板節用集」の中でも屈指の充実した辞書である。剩へ収載語数が7220語の多きを算へる豊饒な研究文献である。さらに序周の徹底した学問的態度に基づいてなされた近世女性教養書の新企画である。江戸期に4回以上も改版・重刊せられ、当時の教養層の女性間で多用され重宝せられた所以である。

■目次
刊行のことば
『女節用集文字嚢』影印
解 題
『女節用集文字嚢』索引
付載 諸人片言直し[翻字本文]

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