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『あたまの底のさびしい歌』
本書の詳細

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■内容
 宮沢賢治は37歳という短い生涯の間に、家族や友人に向けて、たくさんの手紙を書きました。それらには、詩や童話などの作品には表れない、なまの賢治の思いをかいまみることができます。本書は、そんな賢治の手紙の1918年から1933年の亡くなる直前に書かれたものまで11通を選び出したものです。
 必死の思いで書かれた賢治の手紙には、混迷する時代のなかで、人生の本当の意味や本当の価値を求めている現代人の心に響くことばがあふれています。世の中の矛盾や、自分の無力さに打ちひしがれながらも、一生懸命生きていこうと、自分自身や手紙の相手を励まそうとしています。美しい詩のようにも読める文面は、私たちへの貴重なメッセージとなるでしょう。
 また、学校は出たものの、何か本当の自分の仕事なのか、世の中のために何をすべきか、また自分はどう生きていくべきか悩んでいる賢治。でも、はたから見れば、ろくな仕事にもつかず親の経済力に頼っている怠け者です。その姿は、社会の敷いたレールに乗れない/乗りたくない、現代のニート世代にも通じるものがあるように思えます。青年賢治と同じく、人生で迷子になっている若い世代にも、ぜひ読んでいただきたい一書です。
〈以下、本文より抜粋〉
専門はくすぐったい。学者はおかしい。
実業家とは何のことだ。まだまだまだ。
しっかりやりましょう。しっかりやりましょう。
――友人に宛てた手紙より(101ページ)
われわれは楽しく正しく進もうではありませんか。
――弟に宛てた手紙より(118ページ)
どうか今のご生活を大切にお護り下さい。
上のそらでなしに、
しっかり落ちついて、
一時の感激や興奮を避け、
楽しめるものは楽しみ、
苦しまなければならないものは苦しんで
生きて行きましょう。
――死の直前、かつての教え子に宛てた手紙より (134ページ)
 また、本書に多数おさめた絵を描いたのは、書籍や雑誌で幅広く活躍するイラストレーター・デザイナーである川原真由美さんです。ときにはやさしく、ときには激しく、ときには幻想的に、いろんな場面を持つ手紙のイメージをふくらませてくれる素晴らしい作品に仕上げました。

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