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『近代福祉法制大全』
本書の詳細

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■刊行にあたって・・・・・桑原洋子
 現在、社会福祉法制の研究の重要性は、社会福祉研究者・社会福祉従事者の間で強く認識されている。これは社会福祉法が公的社会福祉活動を規制するに止まらず、民間の社会福祉活動の基準となっているからである。それ故、措置から契約へという動向のある現在においても、社会福祉法を座視することはできないのである。 社会福祉法については、その歴史が浅く体系が未成熟であり、いまなお試行錯誤の段階にある。それは、社会福祉法はその時代のニードに促がされて形成されるという性格を持ち、変容を繰り返すことで時代の要請に対応してきたからである。しかし歴史は動いていくものであるからこの状態を脱却することは容易ではないが、社会福祉法を学問体系として整備していくことが現在の課題であろう。そのために、社会福祉法の史的研究が重要となる。史的研究は、現行の各社会福祉法がどのような経緯を経て現行法にいたったかという改廃の沿革を客観的に追及するものである。これにより、各福祉法を制定した立法の意図が明らかとなり、このことが現行法解釈の一つの手掛りとなり得る。またこのことは、今後の社会福祉に関する制度の体系を整備する基盤となるであろう。その意味で社会福祉法の史的研究は、社会福祉研究にとって不可欠のものであると考える。 今回刊行する『近代福祉法制大全』は、1988年に出版した『日本社会福祉法制史年表』(永田文昌堂)にもとづき、そこに収録した明治・大正・昭和戦前の社会福祉に関する法令・通達などを原典として編年次別に編纂したものである。これとあわせて、戦前の社会福祉法の中でも戦後の法令の制定に影響を及ぼしたと考えられる法令に関しては、その制定のプロセスを帝国議会の議事録から抜粋して本大全に収録した。これにより当該法令が制定された当時の立法者の福祉観が本書の読者に理解されると考える。 本大全が、現行の社会福祉制度を理解するための基盤となるだけではなく、さらに21世紀にむけての社会福祉制度構築に資するものとなれば幸いである。

■推薦のことば 明日の創造研究に資する刊行・・・・・佐藤進(立正大学・日本女子大学名誉教授、新潟青陵女子短期大学特任教授)
 『日本社会福祉法制史年表』(永田文昌堂、一九八八)の労作を物された桑原洋子教授の、宮城洋一郎教授らとの協同編集により、戦前の明治・大正・昭和時代の前日本福祉法制度形成についての、帝国議会議事録ならびに政府通達にもとづく、編年別の近代福祉法原典資料集成の刊行は、戦後新憲法体制下の現代日本福祉法制の展開過程との連続、非連続を知り、日本的な福祉創造の法政策の現状、また明日の創造研究に資することが大きいと考えられる。地味な資料蒐集にもとづいた客観的な前福祉関係法大全の刊行の意に編者ならびに出版社に対し敬意を表し、推薦の言葉を贈るものである。

■推薦のことば 転換期の今日に意義ある文献・・・・・一番ケ瀬康子(長崎純心大学教授)
 今、日本の社会福祉は、大きな転換期にある。その時期に日本の社会福祉法制が、近代化の中でどのような在り方であったか、また変遷をたどってきたかを深く探究するために、さらにこれからの在り方を検討するためにも、今回の『近代福祉法制大全』の刊行は、極めて意味がある。
 また貴重な数多くの資料が掲載してあり、系統だてて見る上でわかりやすく、歴史研究としても非常に意義がある。
 是非積極的に活用されるよう、多くの方の目にふれてほしいと願う次第である。

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